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ジェムザール(ゲムシタビン)の間質性肺炎という副作用の対処法を医師が解説

こんにちは。山本洋平と申します。がん治療を専門の1つにして、小樽協会病院で勤務をしています。

さて、今日の本題に入ります。

ジェムザール(一般名は、ゲムシタビン)という抗がん剤があります。膵臓がん、乳がん、肺がんなどに対して用いられることが多い薬です。

今日は、気をつけないといけない副作用についてのお話です。

 

気をつける副作用とは、間質性肺炎であり、呼吸困難、発熱、咳が症状としてでます。

ゲムシタビンによる治療を受けている最中に、発熱、咳、歩くと動悸や息切れをするようになったりしたら、間質性肺炎の可能性があります。

必ず主治医に報告してください。 

間質性肺炎があるにも関わらず、治療を受け続けたら、間質性肺炎がさらに悪化して、亡くなることもあります。

私の患者さんでも、間質性肺炎になった方はいますが、幸い早く発見できたので、入院することもなく、すぐによくなりました。

早期発見、早期治療が大切なのですね。

ちなみに、間質性肺炎が発症する時期に関してですが、以下のような記載があります。

非小細胞肺癌の特定使用成績調査(安全性解析対象 2110例)で認めれらたジェムザールの肺毒性40例(間質性肺疾患 36例、肺臓炎 3例、肺線維症 1例)において、本剤投与開始後から発現まで2週未満、2週から4週まで、4週から6週まで及び6週以上の症例数は、それぞれ6例(15.0%)、12例(30.0%)、7例(17.50%)及び15例(37.50%)でした。

また、国内治験結果の再解析を行い、間質性肺炎に関する安全性プロファイルについて検討した文献では、薬剤と因果関係が否定できない間質性肺炎が11例あり、うち5例が1サイクル目で間質性肺炎と診断されていました。6サイクル目で診断された症例もありましたので、ジェムザールの間質性肺炎は投与全期間にわたり注意が必要です。

(イーライリリーHPより引用)

理想的には、主治医の先生に、診察のたびに、胸の音を聴いてもらうのがよいですよ。

 

 

[参考資料]
1. ジェムザール 使用成績調査のまとめ(非小細胞肺癌)
2. 石井雅巳, 長岡創志, 辰巳ますみ, ほか. 国内臨床試験におけるゲムシタビン塩酸塩(ジェムザール)の安全性プロファイル. Japanese Journal of Cancer and Chemotherapy. 2011; 38(13):2607-2616
3. Belknap S.M, Kuzel T. M, Yarnold P. R, et al. Clinical features and correlates of gemcitabine‐associated lung injury. Cancer. 2006;106(9):2051-2057. 
4. Barlési F, Villani P, Doddoli C, et al. Gemcitabine‐induced severe pulmonary toxicity. Fundamental and Clinical Pharmacology. 2004;18(1):85-91 

執筆医師:山本洋平
札幌禎心会病院の消化器内科医師

(2021年9月までは、小樽協会病院消化器内科に所属)

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門と同時に、呼吸器領域の治療にも知識が豊富です。

消化器病学会専門医、総合内科専門医、日本肝臓学会 肝臓専門医、消化器内視鏡学会所属

山本洋平医師の関わる論文

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