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膵臓がんの腹腔内化学療法の実績を医師が解説

膵臓がん  

こんにちは。加藤隆佑です。札幌の総合病院で、がん治療を専門に総合病院で勤務しています。

膵臓がんが腹膜に転移している時の治療法の1つに、腹腔内化学療法は有効な治療方法の1つです。

その治療が、具体的にどのような治療なのか?どの程度の治療効果があるかについて、解説します。

腹腔内化学療法は、どのような治療法か?

腹腔内に、直接、抗がん剤を散布することにより、腹膜に転移しているがんを、制御することを試みる治療法です。

抗がん剤をお腹に中に注入するために、皮下にポートを埋め込む必要があります。

そうすることにより、お腹の中に、容易に抗がん剤を投与することができるようになります。

胃がん、膵臓がん、卵巣がんで行われることがあります。

腹腔内化学療法のメリットは?

全身への抗がん剤投与と異なり、腹腔内への抗がん剤投与は局所的に抗がん剤の濃度を高く保つことができ、また全身の副作用を抑えることができます。 

しかし、実際は、全身への抗がん剤投与と並行して、腹腔内への抗がん剤投与が行われることが多いです。

例えば、以下のようなスケジュールでやられます。

28日を1サイクルとする。

1日目、8日目、15日目にゲムシタビンとアブラキサンを点滴で投与しつつ、パクリタキセルという抗がん剤を腹腔内と静脈内に投与

腹腔内に投与するパクリタキセルの量は、生理食塩水250ccに溶かして、体表面積あたり20ミリグラム

 

治療効果判定は?

ポートから腹水を採取して、がん細胞を確認できなくなったら、腹腔鏡を用いて、腹膜播種の状態を確認します。

その結果、腹膜播種が非常に改善していたら、胃のがんの部位を切除することを試みるケースが多いです。

腹腔内化学療法の治療実績は?

2020年に発表されたPhase IIの臨床試験の治療成績は以下の通りです。

腹膜播種があり、それ以外の部位には転移がない46名の患者さんが、臨床試験に参加。

主要評価項目として1年全生存割合、副次評価項目は抗腫瘍効果、症状緩和効果、安全性、全生存割合が評価された。

治療成功期間中央値は6.0ヶ月であり、治療奏功率は49%、病勢コントロール率は95%と非常に高い治療効果が得られた。

この治療法によって、腹膜転移が消失して最終的に膵がんの切除まで行えた患者さんは17%であり、切除できなかった患者さんと比較して、生存成績は良好

腹腔内化学療法は、非常に有効な治療法の1つですが、広くは普及はしていません。

保険診療にも、なってはいません。しかし、試みる価値が高い治療でも、あります。

このように、広くは普及はしていなくても、非常に有効な治療法というのは存在します。そのような治療を、うまく利用すると良いですね。

 

 

文献:Phase I/II study of adding intraperitoneal paclitaxel in patients with pancreatic cancer and peritoneal metastasis

執筆医師:加藤隆佑


癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医・指導医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医・指導医
札幌禎心会病院がん化学療法センター長

(2021年9月までは、小樽協会病院消化器内科に所属)

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門としつつ、がん全般についてアドバイスをしています。

緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」「大腸がんと告知されたときに読む本」「がんと向き合うために大切なこと」を出版。

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