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2024年1月から3月の間に発表されたインパクトのある薬をご紹介

 2024/07/08 新薬  

こんにちは。がん治療専門医である加藤隆佑です。

本日は、2023年1月から3月の間に発表されたインパクトのある薬をご紹介します。

非常にインパクトのある薬剤が2つあります。

乳がんと胃がんに関する薬です。

1、トルカプ錠160mg、同錠200mg(カピバセルチブ、アストラゼネカ)

ホルモン受容体陽性の乳がんの方に該当するかもしれない薬です。

ホルモン療法をして悪化した場合で、以下の条件を満たす場合に、用いることができます。

・PIK3CA、AKT1又はPTEN遺伝子変異を有する
・HER2受容体が陰性であること(Low Her2の方は、HER2受容体陰性となります)

ホルモン受容体が陽性の乳がんの約半数が、PIK3CA、AKT1又はPTEN遺伝子変異を有する

と言われています。

以下のようなスケジュールで用います。

フルベストラントとの併用において、通常、成人には1回400mgを1日2回、4日間連続して経口投与し、その後3日間休薬する。

2、ビロイ点滴静注用100mg(ゾルベツキシマブ)

CLDN18.2という蛋白を認めるステージ4や再発の胃がんに対して用いることができる薬剤です。

胃がんの3割くらいの方に、CLDN18.2という蛋白を認めるとされています。

そして、これまで用いられてきた抗がん剤と併用して用いる点滴の抗がん剤です。

たとえば、これまでであれば、5FU、オキサリプラチン、ロイコボリンという薬剤で治療をしていたところに、この薬剤が加わって、計4剤を併用して
治療をすることになります。

それとは別に、以下のような4つの薬剤・治療法が、現在、承認申請されています。

そして、ここのホームページにこの情報をのせることが遅くなってしまったこともあり、この2剤は現在すでに使うことができます。

(他にもさまざまな薬剤などが承認申請されていますが、特に注目しているものを記載しています。)

・ホルモン受容体陽性、H E R2陰性のステージ4の乳がんの方向けの薬剤

抗TROP2抗体薬物複合体:ダトポタマブ デルクステカン

・トリプルネガティブ乳がんの方向けの薬剤

sacituzumab govitecan

・ステージ4の尿路上皮がん

パドセブとキイトルーダの併用療法

新薬の情報に関しては、定期的に発信していたいと思います。

執筆医師:加藤隆佑


癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医・指導医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医・指導医
札幌禎心会病院がん化学療法センター長

(2021年9月までは、小樽協会病院消化器内科に所属)

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門としつつ、がん全般についてアドバイスをしています。

緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」「大腸がんと告知されたときに読む本」「がんと向き合うために大切なこと」を出版。

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