新しい抗がん剤が承認されたら、いつから実際に使えるようになりますか?
こんにちは。がん治療専門医の加藤隆佑です。
私は、定期的に、あらたに承認された抗がん剤をご紹介していますが、承認されてから、実際に使えるまでにどのくらいの期間がかかるかというご質問を受けることがあります。
そこで、その点に関して解説したいと思います。
1、薬が市場に出るまでは、以下のような流れがあります。
https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/about-reviews/p-drugs/0014.htmlより画像を引用
この図を見てわかる通り、製薬メーカーが製造販売を申請をしても、許可が得られるまでに、複数のステップを踏む必要があります。
1、厚生労働省の部会審議というのを通過すると、実際に使えるまで、あと一息ということになります。
部会審議で承認されたものは、ほぼ間違いなく、製造販売承認されると考えても良いでしょう。
ただし、以下の点に注意が必要です
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最終決定権:最終的な製造販売承認の決定権は厚生労働大臣にあります。部会の推奨は重要ですが、厚生労働大臣が最終判断を下します。
追加資料の要求:稀に、部会承認後に追加資料の提出が求められる場合があります。
承認条件:承認される場合でも、追加の安全性データの収集など、条件付きで承認されることがあります。
タイミング:部会承認から正式な製造販売承認までには、通常短期間のタイムラグがあります。
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2、製造販売承認されたら、すぐに薬を用いることはできますか?
というご質問をいただくこともあります。
薬の価格が決まらないと、用いることができません。
そして、製造販売承認は薬価収載とは別のプロセスです。承認後、薬価収載までには通常数ヶ月かかります。
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一般的なケース:
多くの新薬は、承認後2〜3ヶ月以内に薬価収載されます。
例えば、四半期ごと(2月、5月、8月、11月)の薬価収載のタイミングに合わせて収載されることが多いです。
迅速な収載の例:
希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)や、特に医療上の必要性が高い薬剤の場合、承認から収載までの期間が短縮されることがあります。例えば、1ヶ月程度で収載される場合もあります。
長期化する例:
製造販売承認後、追加のデータ提出や価格交渉などの理由で、薬価収載までに6ヶ月以上かかるケースもあります。
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3、薬価が決まったら、すぐに用いることができますか?
というご質問をいただくこともあります。
薬価が決まった日から3ヶ月以内に製造販売を開始し、医療機関等への供給を開始する必要がありますので、3ヶ月以内に使えることができるという回答になります。
まとめ
部会審議で承認された薬は、インターネット上で公表されます。
そのような薬剤で、新薬の場合は、だいたい半年後くらいに使えるようになるというイメージを持っていただければと思います。
がんハートサポートでは、新薬の情報も定期的に掲載していきたいと思います。