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妊娠、出産を望む方が、乳がんの治療受けるための注意点を医師が解説

 2021/01/15 乳がん  

こんにちは。加藤隆佑と申します。がん治療を専門に総合病院で勤務しています。

妊娠を望む方で、乳がんを受けないといけないことは、あります。

その際には、乳がんの治療後に、妊娠ができるように、注意しないといけないことがあります。

また、乳がんになった後に、妊娠すると、再発する可能性が高くなると心配される方もいます。しかし、本当に、再発する確率は高くなるのでしょうか?

そのあたりのことについて、解説していきます。

乳がんになったら、妊娠後に、再発率はあがる?

これまでのデータによると、乳がんの治療後に、妊娠したとしても、再発率は上がらないと、されています。

乳がんの治療後に、妊娠できるようにするために、気をつけること

乳がんの治療の一環として、抗がん剤治療を受けた場合は、妊娠できる可能性が、減ります。

抗がん剤によって、卵巣機能が低下するからです。その結果、ずっと、月経がこなくなることも、あります。

月経が再開したとしても、卵巣の中の卵胞の数が減り、不妊となる可能性が高くなります。

従って、乳がんに対する抗がん剤治療を受ける場合には、卵子を採取して、凍結保管することが、推奨されています。

ちなみに、パートナーの方がいる場合には、卵子を採取して、人工授精をした上で、凍結保存します。

凍結保存の費用は?

凍結保存に関連することは、すべて自費で治療代を払わないといけません。

また、長期保管にも、費用が、発生します。

ホルモン陽性の乳がんの場合の妊娠をどうしたらよい?

ホルモン受容体が陽性の乳がんの場合は、5から10年間のホルモン療法が推奨されています。

そして、その間は、妊娠は避けないといけません。

しかし、5から10年は、とても長い期間です。子供が欲しい方にとっては、5から10年間、妊娠ができなくなることは、とてもストレスになります。

状況によっては、ホルモン療法をやめて、妊娠を試みるという選択肢をとることに、なることもあるかもしれません。

ホルモン療法をやめても、再発しない方は、それなりの割合で、いるからです。

乳がんの治療後の、妊娠はとても大きな問題です。

妊娠中に、乳がんが判明した時の抗がん剤治療については、こちらで解説しています。

 

参考:『乳がん 受診から診断、治療、経過観察への流れ』国立がん研究センターがん報サービス

参考:日本乳癌学会乳がん診療ガイドライン

執筆医師:加藤隆佑


癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医・指導医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医・指導医
札幌禎心会病院がん化学療法センター長

(2021年9月までは、小樽協会病院消化器内科に所属)

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門としつつ、がん全般についてアドバイスをしています。

緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」「大腸がんと告知されたときに読む本」「がんと向き合うために大切なこと」を出版。

加藤隆佑医師の論文

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