1. TOP
  2. がんと遺伝
  3. 若年層(50 歳以下)におけるがんの患者数が増えているという報告

若年層(50 歳以下)におけるがんの患者数が増えているという報告

 2022/10/14 がんと遺伝  

こんにちは。加藤隆佑です。がん治療を専門に総合病院で医師として勤務しています。

先日、世界において、若年層(50 歳以下)におけるがんの患者数が増えているという報告がありました。

今日は、この問題について解説いたします。

若年層のがんの特徴にはいくつかあり、そのうちの一つは、治癒したとしても、その後、様々な問題を抱えるリスクが高くなることです。

例えば、不妊症、心血管疾患、二次がんといった問題です。

なぜ、この世代における、がんの患者数は増えているのか?

若年層(50 歳以下)におけるがんの患者数が増えている要因は、以下の通りです。

1、アルコール摂取量の増加

1960年代と比較するとアルコール消費量の増加。女性におけるアルコール消費量も増加。

2、抗生物資を投与される機会の増加

3、社会生活の変化

運動量低下、初産平均年齢の高齢化、出生率の低下、経口避妊薬の使用率の増加、母乳の代わりに人工ミルクの使用の増加、西洋風の食事の増加

4、喫煙率の増加

5、肥満の増加、糖尿病の増加

子供の頃より、以上の要因に暴露されることにより、若年層(50 歳以下)のがんが増えているのです。

このことをまとめたのが、以下の図です。

「Is early-onset cancer an emerging global epidemic? Current evidence and future implications」という論文より画像を引用

どのようながんが、増えているのか?

乳がん、大腸がん、子宮がん、食道がん、頭頸部がん、腎臓がん、肝臓がん、骨髄腫、膵臓がん、胃がんの増加が、認められています。

ちなみに、若年者のがんの中には、ウイルス感染が関与する場合もあります。

・肝臓がん〜B型肝炎ウイルスなど

・頭頸部がん、子宮頸がん〜パピローマウイルス

・胃がん〜ピロリ菌感染

遺伝的な要因が関わることもあります。

がんを減らしていくために必要なこと

正しい食事やライフスタイルの教育、がんの危険因子の除去(ウイルス除去など)をするだけでも、かなりのがんの患者数を減らせることが期待できます。

そして、そのようなことを、世界中の子供、そしてその親の世代に知ってもらうことが必要です。

そうすれば、若年層のがんの罹患率を減らせますし、50歳以上のがんの罹患率も減らせることでしょう。

 

参考論文

Is early-onset cancer an emerging global epidemic? Current evidence and future implications

Nature Reviews Clinical Oncology volume 19, pages 656–673 (2022)

執筆医師:加藤隆佑


癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医
札幌禎心会病院がん化学療法センター長

(2021年9月までは、小樽協会病院消化器内科に所属)

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門としつつ、がん全般についてアドバイスをしています。

緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」と、「大腸がんと告知されたときに読む本」を出版。

加藤隆佑医師の論文

加藤隆佑医師のプロフィールの詳細はこちら

関連記事

  • 癌の遺伝子検査が保険適用に!遺伝子検査のメリットとデメリットを解説

  • 遺伝性乳がんの検査と治療は?乳房の予防切除は必要か?

  • 70歳未満のすべての大腸がんの方に、遺伝子検査を受けることが、推奨!

  • 血縁者に大腸がんの方がいるときには、大腸カメラを受けるべき理由とは?

  • 自分のがんが、子どもに遺伝したら、どうしたら良いですか?