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がん治療中に障害年金を受け取る方法を医師が解説

 2022/06/10 医療費  

こんにちは。加藤隆佑と申します。

札幌の総合病院でがん治療を専門にしている医師です。

本日の本題に入らせてもらえればと思います。

がんの治療中であっても、障害年金を受けられることができます。

障害年金を受け取ることができれば、治療に伴う経済的な負担を軽減できます。

そこで、障害年金を受け取るための条件や、コツをお伝えします。

1、障害年金とは?

障害年金は、病気やけがなどで障害が生じたとき、支給される公的年金のことです。

65歳未満の方でも、受給できる可能性はあります。

たとえば、人工肛門になった場合は、障害年金を受給することができます。

しかし、それだけでは、ありません。

がんの治療の副作用で、仕事が制限されたり、介助が必要になってしまった。

そのような場合でも、受給できることがあります。

たとえば、

抗がん剤の副作用による倦怠感で、仕事や生活に支障が出ている

ときにも、至急されるかもしれないのです。

給与が支払われていても支給の対象になる場合があります

障害年金には、1級から3級まであります。1級が最も重い障害です。

上の表をもっと簡単に記載すると、以下の通りとなります。

1級が認められるために必要なこと

日常生活が、おおむね寝たきりということ

2級が認められるために必要なこと

日常生活が著しい制限を受けているということ

3級が認められるために必要なこと

労働が制限を受けるということ

注意点として、身体障害者手帳の等級とは異なるので、混同しないでください。

2、受け取るために必要なことは?

1級と2級の場合

国民年金加入者には障害基礎年金、厚生年金加入者にはさらに障害厚生年金が上乗せされます。

3級の場合

障害年金が受給できるのは、厚生年金の加入者だけとなります。

初診日と、障害認定日は大丈夫?

障害年金で重要なのは、がんと診断された病院を初めて受診した「初診日」と、障害の状態を判断する「障害認定日」

障害の状態は、初診日から1年6カ月経った時点の障害認定日の体の状態で判断されます。

つまり、初診日から1年6カ月たっていないと、申請できないことになります。

例外は、膀胱がんなどで新膀胱を造設したり、喉頭がんなどで喉頭を全摘出したときです。

新膀胱造設と喉頭全摘術などは手術日、人工肛門は6カ月後が障害認定日になります。

クリックすると拡大します。

「https://www.nenkin.go.jp/service/yougo/sagyo/ninteibi.htmlより引用」

そして、申請するために準備するものは、以下ものです。

・年金請求書:年金請求書様式第107号

代理人が記載することも可能です。

・受診状況等証明書

受診状況等証明書を提出できない場合は、受診状況等証明書を添付できない申し出書

・病歴・就労状況等申立書

・医師の診断書

障害年金の診断書には8様式ありますが、がんの場合は、「血液・造血器・そのほかの障害」の様式を使います。

(クリックすると拡大できます。)

 

申請しても、認められないことがある。その回避策は?

最も大事なことは、診断書の12番のところです。

もし、アを選択したら、障害年金を受け取ることはできないでしょう。

エとウの場合は、3級の可能性があります。

オとエの場合は、1級か2級の可能性があります。

医師は、あなたが、どのような生活を送っているかわかっていないことが多いです。

従って、医師に、自分から、どこにチェックしてもらうかを事前に伝えるとよいです。

次に大切なところは、9番と15番のところです。

以下は15番

詳しく書いてもらいましょう。

なぜならば、がんの障害認定は、以下の情報を総合して、判断されるからです。

・病状の経過と治療効果

・画像所見

・転移の有無

・採血の検査結果など

直近の検査結果で、がんによって悪化している部分があれば、そのことも記載してもらいましょう。

・具体的な日常生活状況

・がんの組織所見と、その悪性度

そして、詳しく書いてもらうためにも、以下のことをメモにして、主治医に渡すとよいです。

・具体的な日常生活の状況

それ以外の記載のコツは、以下の通りです。

16番のところは、先ほどの12番の内容に沿ったことを書いてください。

17番の予後のところは、万が一、薬が効かなかったときに、どうなるかを記載してもらうと良いです。

 

執筆医師:加藤隆佑


癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医・指導医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医・指導医
札幌禎心会病院がん化学療法センター長

(2021年9月までは、小樽協会病院消化器内科に所属)

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門としつつ、がん全般についてアドバイスをしています。

緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」「大腸がんと告知されたときに読む本」「がんと向き合うために大切なこと」を出版。

加藤隆佑医師の論文

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