1. TOP
  2. 乳がんコラム
  3. 乳がんの手術後に、腫瘍マーカーが上昇して、再発を疑わせる時の対処法を医師が解説!

乳がんの手術後に、腫瘍マーカーが上昇して、再発を疑わせる時の対処法を医師が解説!

 2021/01/20 乳がんコラム  

こんにちは。加藤隆佑です。小樽協会病院というところで、がんを専門に診療をしています。

さて、本日は、乳がんの手術後に、腫瘍マーカーが上昇して、再発を疑わせる時の対処法を解説いたします。

腫瘍マーカーが上昇しても、再発しているとは限らない

実は、多くの腫瘍マーカーは、がん細胞からだけではなく、正常な細胞でも作り出される物質です。

しかし、がん細胞の方が、正常な細胞よりも成長が早いために、がん細胞の方が、たくさんの腫瘍マーカーを作ります。

その結果、腫瘍マーカーが基準値よりも高い時には、身体の中に、がんが存在している可能性が高いと、解釈できます。

そして、手術後に、腫瘍マーカーが上昇してきたときには、再発の可能性を考えることに、なります。

しかし、腫瘍マーカーが基準値より少し高い数値であっても、再発していないことも、あります。

また、がん以外の理由でも、腫瘍マーカーは、高値を示すことがあることを忘れてはいけません。

何個かの腫瘍マーカーを例にとって、その点に関して、説明いたします。

CEA:慢性肝炎、肝硬変、慢性膵炎、肺結核などでも高値を示すことがあり、その確率は20~40%程度と考えられています。

CA19-9:胆管炎、慢性の膵炎や肝炎、閉塞性の黄疸、卵巣脳腫などでも高値を示すことがあり、その確率はおよそ5~10%程度です

CA125:子宮内膜症の50~65%程度、膿疱腺腫の20%程度でも高値を示すことがあります。

ここでいう高値とは、正常域から少しはみ出る程度の数値のことを指します。

腫瘍マーカーが、数千というような数値である場合や、腫瘍マーカーが右肩上がりで上昇する場合には、非常に高い確率で、再発しているか、新たに別のがんが、できていると、推測されます。

がんで用いられる腫瘍マーカーは?

乳がんの腫瘍マーカーとして、以下のものが挙げられます。

  • CEA
  • CA15-3
  • NCC-ST-439
  • BCA225

ただし、これらすべてを用いるわけではありません。

この中でよく用いられるものは、CEA、CA15-3そして、NCC-ST-439です。

これらの腫瘍マーカーが右肩上がりで上昇するときは、再発した可能性が高いと考えます。

もしくは、新たに、別のがんが、体のどこかにできたと推測します。

そして、CTやPETといった検査で、どこに、がんが存在するかを、確認することになります。

腫瘍マーカーが右肩上がりで上昇してきたらどうする?

定期検査の検査結果で、たまたま、腫瘍マーカーが少しだけ、基準値よりも高い数値になることはあります。

腫瘍マーカが少し上がった程度では、不安に思う必要はないでしょう。

しかし、右肩上がりに上昇する場合は、注意が必要です。

たとえ、正常域内であったとしても、右肩上がりに数値が上昇するときは、がん細胞が、増殖してきている兆候であることが多いです。

がんを抑えるために、なんらかの工夫を付け加えないといけないサインと、言えるかもしれません。

例えば、卵巣がんの事例になりますが、以下のような事例があります。

60歳代の女性

卵巣がんの手術後に、腫瘍マーカーであるCA125が上昇してくる。

画像上でも、リンパ節に再発した疑いとなる。

しかし、漢方を内服し、腫瘍マーカーは再び下がり、がんの増大は抑えられる。

 

ちなみに、この方に飲んでいただいたのは、大青葉・山豆根という漢方です。

このように、手術後に、腫瘍マーカーが上昇したときには、漢方は非常に重要な役目を果たします。

漢方の重要性は、乳がんにも、言えることです。

腫瘍マーカーが上昇する兆候がある時には、なるべく早くがんを抑えるアクションを取るべきです。

そのためにすべきことの1つが、漢方を取り入れることなのです。

乳がんの成長を、強力に抑えられます。

また、乳がんが再発したときには、抗がん剤治療も、有効な治療法となります。

乳がんが再発した時の治療法については、こちらで詳しく解説しています。

また、漢方や食事療法も、がんを抑えて、再発を回避するために、重要なことです。

乳がんの再発を予防する方法は、こちらで学ぶことができます。

 

 

 

 

 

 

参考資料:『乳がん 受診から診断、治療、経過観察への流れ』国立がん研究センターがん報サービス

参考資料:日本乳癌学会乳がん診療ガイドライン

参考文献:current status of clinical evidence for electromagnetic hyperthermia on prospective trials

参考文献:Complementary Chinese Herbal Medicine Therapy Improves Survival of Patients With Pancreatic Cancer in Taiwan: A Nationwide Population-Based Cohort Study

 

執筆医師:加藤隆佑


癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医・指導医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医・指導医
札幌禎心会病院がん化学療法センター長

(2021年9月までは、小樽協会病院消化器内科に所属)

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門としつつ、がん全般についてアドバイスをしています。

緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」「大腸がんと告知されたときに読む本」「がんと向き合うために大切なこと」を出版。

加藤隆佑医師の論文

加藤隆佑医師のプロフィールの詳細はこちら

関連記事

  • エンドキサンという内服の抗がん剤は、乳がんに効果があります。

  • 乳がんの腫瘍マーカーであるCEAやCA15-3などについて医師が解説

  • イブランスというホルモン受容体陽性の乳がんに用いられる薬の効果と副作用

  • 乳がんのステージ4でも楽に余命を伸ばす!今すぐ効果がある治療を医師が解説

  • ベージニオ(アベマシクリブ)のホルモン受容体陽性乳がんへの効果と副作用を医師が解説

  • 乳がんが、目に転移したときの症状と対処法を解説