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緩和ケアでとれない痛みは、セカンドオピニオンが有効!症状を楽にして生活しよう。

 2021/01/19 がんによる痛み  

こんにちは。加藤隆佑です。がん治療専門医として、小樽協会病院という総合病院で勤務しています。

がんの痛みをとる治療に関しても、力をいれています。

さて、がんによる苦痛をとり除くための、緩和ケアは大切です。

緩和ケアは、抗がん剤治療と、並行して受けると、よりよいとされています。

そして、がんの痛みは、かなり取り除けることが、できるようになりました。

末しかし、本来であれば取り除ける痛みが、取り除かれないがために、悩んでいる患者さんがいます。

理由は、以下の2つです。

  • 主治医が、痛みで悩んでいることを把握していない。
  • 主治医が痛みをとる治療を不得手としている。

もし後者の理由ならば、セカンドオピニオンを求めるとよいです。

そうすることにより、痛みを取り除くための解決策が提示されることが、珍しくありません。

さて、なぜ、がんによる症状を取らないといけないかを、詳しく説明いたします。

がんによる症状を、取ることは、できます。その理由とは?

がんと闘う上で、大切なことは、体力を失わないことです。

もし、体力がなければ、病院の治療に耐えられないことでしょう。

いかにして、体力を温存しながら、がんと闘うか?という視点をもってほしいです。

さて、がんによる症状があると、体力は消耗してしまいます。

たとえば、痛みがあると、横になる時間が増えてしまいます。

食事の摂取量が少なくなり体重や筋力が落ちてしまうこともあります。それらは、体力の低下を意味します。

痛みを取ることは当たり前のことではありますが、体力の低下を避けるという意味合いでも、重要です。

痛みがなくなれば、快適な毎日を送ることができるようになります。

食欲は増えますし、体を動かす時間を増やすこともできます。痛みを取り除くことは容易です。非常に効果的な痛み止めの薬があるからです。

しかし、以下のように思われる人がいます。

  • 「がんだから、痛いのは当たり前」
  • 「痛み止めには副作用があるから痛み止めは飲まない」
  • 「抗がん剤によってがんが小さくなれば、痛みはとれてくるだろうから、痛み止めは飲まないで我慢する」

痛みがあっても、以下の条件をすべて満たしているならば、痛み止めを飲む必要はありません。

  • 食事はしっかり摂取できている。
  • 体もしっかり動かすことができている。
  • 夜もしっかり眠られている。
  • 痛み止めの薬を飲むほどではないと思える。

しかし、日常生活に少しでも影響が出ている痛みならば、痛み止めの薬を飲んで痛みを軽減させてほしいです。

痛みのために日常生活に多少なりとも支障がでていると、体に負担がかかっており、体力は消耗していることを意味します。

痛み止めの薬といっても、副作用の非常に少ない痛み止めはあります。

たとえばアセトアミノフェンです。

一方で、副作用が出やすい痛み止めの薬もあるのは事実ですが、万が一副作用がでた場合は、適切な対応をしたら、その副作用の問題は解決できます。

がんが小さくなって痛みがなくなれば、痛み止めを止めることはできます。

日常生活に支障が出る痛みを我慢し続けることは、百害あって一利なしであることを知ってほしいです。

がんによる痛みに悩まされずに、病院の治療を受けることが大切です。

最近になって、痛み止めの使い方に、変化がでてきました。

1、ロキソニンといった胃腸を障害する可能性が高いお薬は、なるべく用いない。

これまでは、がんの痛みに対しては、アセトアミノフェンを飲んでもらい、それが無効であれば、ロキソニンいった消炎鎮痛剤を飲んでもらうケースが多いです。

しかし、最近は、アセトアミノフェンを飲んでも十分でなければ、その次に、オキシコンチンといった医療用麻薬に分類されるお薬を、追加で飲んでもらった方が良いという考えが推奨されてきています。

そして、それらでも、痛みをとるのが不十分なときに、ロキソニンを足すという考え方となります。

このような考え方がでたのは、ロキソニンいった消炎鎮痛剤によって、胃腸障害といった様々な副作用がでる可能性があることが、背景にあります。

例外として、刺すような鋭い痛み(体性痛)への対処法です。ロキソニンいった消炎鎮痛剤が有効ですので、早い段階から、ロキソニンが用いられます。

2、アセトアミノフェンを、中途半端な量を用いない。

アセトアミノフェンの処方で、よく見かけるものは、以下のものです。

「アセトアミノフェン200ミリグラムの錠剤を1日3回飲む。」

この程度の量で、痛みがとれればよいです。しかし、この程度の量では、痛みがとれないケースが多いです。

痛みをとるためには、十分な量のアセトアミノフェンが必要です。

痛みをとるために、アセトアミノフェンを1日あたり2400から4000ミリグラム飲むことが必要になるケースは多いです。

アセトアミノフェンを飲んでも、痛みがしっかり取り除けていない時は、用量が十分かどうかを、確認してください。

2400ミリグラムよりも少ない内服量で、痛みに悩まれていたら、主治医に頼んで、アセトアミノフェンを増やしてもらいましょう。

アセトアミノフェンを適切に使うと、かなりの痛みはとれます。

そして、痛みをとっていきましょう。

痛みをとるために、もう2つコツがあります

最後に、痛みをとるコツをもう2つお伝えします。それは、あなたにあった薬を、なるべく早くあなたが見つけることです。

例えば、患者さんとの会話の中で、以下のようなことを教えてもらえることがあります。

・・・・・

背中に痛みが出始めたら、病院から処方された痛み止めのロキソニンが効きます。もう一つオキノームという痛み止めももらっているけど、そちらは、あまり効かないわ。

だけど、お腹が痛くなったときには、オキノームを飲んだ方が、効くわ!

・・・・・

処方してもらった薬を、いろいろ試して、あなたにあった痛み止めの使い方を見つけて欲しいのです。

あとは、痛み日記もつけてくださいね。

このような感じにして主治医に見せると、主治医はどのような痛み止めを出せば良いかのヒントになりますよ。

こちらのものをプリントアウトして使ってください。

 

参考資料:がんによる痛み

執筆医師:加藤隆佑


癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医・指導医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医・指導医
札幌禎心会病院がん化学療法センター長

(2021年9月までは、小樽協会病院消化器内科に所属)

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門としつつ、がん全般についてアドバイスをしています。

緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」「大腸がんと告知されたときに読む本」「がんと向き合うために大切なこと」を出版。

加藤隆佑医師の論文

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