こんにちは。がん治療専門医の加藤隆佑です。
カルボプラチンは卵巣がんに対して、非常に効果的な治療薬です。
しかし、問題となる副作用があります。
それは、カルボプラチンンによるアレルギー反応(過敏反応)です。
以下のような症状がでます。
- かゆみ、蕁麻疹
- 皮膚の赤み
- むくみ
症状が強いと、命に関わるような、呼吸困難・血圧低下が出現してしまうこともあります。そして、「カルボプラチンはもう使えません」と言われるケースも少なくありません。
しかし、アレルギー反応を抑える効果的な方法があります。
その方法をご紹介していきます。
なぜ卵巣がんにおいてカルボプラチンは重要?
卵巣がんでは、プラチナ製剤(カルボプラチン)が効くかどうか、それを継続できるかどうかが、治療効果や予後に大きく関わります。
そのため、アレルギーが出たからといって簡単に中止するのではなく、継続できる方法を検討することが非常に重要です。
カルボプラチンによるアレルギー反応に対する脱感作療法とは?
簡単に言うと、ごく少量から薬を体に慣らしながら、最終的に通常量まで投与する方法です。
アレルギー反応は、急に一定量以上の薬が体に入ることで起こります。そこで、非常に薄い濃度から少しずつ段階的に増やすことで、反応を起こさずに投与するという考え方です。
現在、世界的に広く使われているのが12-step desensitization(12段階脱感作法)です。
手順ですが、3種類の濃さのカルボプラチンを用意します。
とても薄い(1/100)
少し薄い(1/10)
通常濃度
そして、
1/100の濃度のものを15分かけて滴下し、問題なければ少しスピードをあげて15分経過を見て、それも問題なければ、さらに滴下のスピードを早くします。
1/100の濃度のものの投与を終えたら、次に1/10の濃度のものを同様に行います。
それも問題なく終えれば、最後に通常の濃度のものを同様に滴下します。
この治療のポイントの1つ目は、治療前に以下の薬剤の投与を投与しておくことです。
- 抗アレルギー薬(かゆみや発疹を抑える目的)
- ガスターのような胃薬(ヒスタミン反応を抑える目的)
- ステロイド(炎症を抑える目的)
2つ目のポイントは、脱感作のための治療中にアレルギー反応が出たからといって、脱感作療法をすぐにあきらめないことです。
もし途中で、かゆみ、発疹、咳といったアレルギー反応を示唆する症状が出ても、一度カルボプラチンの投与を止めて、抗アレルギー薬の追加(必要に応じてステロイドの追加)をします。
そして、症状が落ち着いたら、再度、カルボプラチンの投与を再開するということが大事です。
ここまですることにより、9割近くは脱感作療法はうまくいくはずです。
カルボプラチンが使えなくなったと言われたとき、多くの方が「もう治療が限られてしまう」と感じます。
しかし、脱感作療法という選択肢があることで、治療を続けられる可能性があります。
すべての方に適応できるわけではありませんが、もし該当する状況であれば、一度主治医に相談してみてくださいね。
追記)脱感作療法は、カルボプラチン以外では、パクリタキセルやオキサリプラチンという薬剤でも試みられることはあります。
参考文献1
Safety and efficacy of an outpatient 12-step desensitization protocol for antineoplastic agents
参考文献2
Safety and efficacy of an outpatient 12-step desensitization protocol for antineoplastic agents