がんの方におすすめしたい運動とは? 早歩きがよい人、無理をしない方がよい人

こんにちは。がん治療専門医の加藤隆佑です。

がんと診断された方から、「運動をした方がよいですか?」と質問されることがあります。

私は、体調に問題がなければ、少し心拍数が上がる程度の早歩きの散歩をおすすめしています。

適度な運動は、筋力や体力の維持に役立ちます。治療中の体力低下や、がんに伴う疲労感の軽減にもつながります。

ただし、ここで大切なことがあります。

運動は、すべての方に同じ方法でおすすめできるわけではありません。

今回は、がんの方におすすめしたい運動と、運動を慎重に考えた方がよいケースについてお伝えします。

体調に問題がなければ、早歩きがおすすめ

体調が安定している方には、運動の1つとして、少し心拍数が上がる程度の早歩きの散歩をおすすめしています。

ゆっくり歩くよりも、少しだけ歩く速度を上げるイメージです。

息が少し弾むくらいでも、会話ができる程度の強さを目安にするとよいでしょう。

早歩きには、次のようなメリットがあります。

– 筋力や体力の維持に役立つ
– 運動不足による筋力低下を防ぐ
– 日常生活を送るための身体機能を保つ
– 気分転換や睡眠の改善につながることがある

運動すればするほど良いわけではない

ここで注意していただきたいことがあります。

病状によっては、運動によって体調が悪化する方もいるということです。

がんから少し話はそれますが、慢性疲労症候群など、活動した後に症状が大きく悪化する病気もあります。

慢性疲労症候群の場合には、身体活動や頭を使う作業などの後に、疲労感や痛み、集中力の低下などが強くなる現象です。

運動した直後には問題がなくても、翌日以降に症状が悪化することもあります。

このようなケースにおいては、無理に運動量を増やすのではなく、体調に合わせて活動量を調整する必要があります。

運動した翌日の体調も確認

次のような変化がないか確認してみてください。

– 運動した後、強い疲労感が長く続く
– 翌日になって、かえって体調が悪くなる
– 以前はできていた家事や身の回りのことができなくなる
– 筋肉痛や関節痛が強くなる
– 頭がぼんやりして、集中しにくくなる

このような変化が繰り返される場合は、運動の負荷が大きすぎる可能性があります。

運動した日の夜や翌日、場合によっては数日後まで、体調の変化を確認してください。

もし運動後に症状が悪化するなら、運動量を減らしたり、休息を増やしたりすることが必要です。

体力をつけるために頑張ることよりも、体調を悪化させないことを優先してよいです。

散歩が難しい場合は、別の方法を考える

体調によっては、歩くこと自体が大きな負担になる場合があります。

そのようなときは、ラジオ体操をしたり、自転車を漕ぐという方法もあります。

ストレス少なく毎日続けられ、さらには、ご自身の体調に合ったものを見つけて欲しいです。

疲れ切る前に休み、無理なく続けられる範囲でやっていきましょう。

痛みが強い方も注意が必要

がんによる痛みが強い方も、痛みを悪化させない範囲で身体を動かすことが大切です。

ただし、痛みがあるときは、どのような運動でもよいわけではありません。

例えば、全身の痛みが特徴的な「線維筋痛症」という病気があります。

この病気では、適切な運動によって痛みの緩和や身体機能の改善が期待できます。一方、運動の強さや量が適切でないと、かえって痛みや疲労が悪化することがあります。

痛みがあるような体調の時の運動は、どのようば運動を、どの程度の負荷でやるかを、リハビリの方のような専門家にも相談して行ったほうが良いです。

運動を控えた方がよい場合

以下のような状況においては、運動を控えたほうが良いです。

– 強い倦怠感がある
– 貧血が進んでいる
– 発熱などの感染症を疑う症状がある
– 血小板が減少している
– 骨転移があり、骨折の危険性が高い
– 息切れや動悸、めまいなどがある

ただ、このような状況が続き、寝たきりの状態のままですと、筋力・体力が落ちる懸念があります。

そのような時には、こちらのような運動もおすすめです。

ご自身の体調を大切にしながら、毎日できて、無理のない方法を見つけていただければと思います。