2024年9月から11月の間に発表されたインパクトのある薬のご紹介です。
こんにちは。がん治療専門医の加藤隆佑です。
先月は、がん治療学会というのがあり、最近の治療法の確認をしたいということもあって参加しました。
興味深いテーマがたくさんありました。今日のメール講座の最後に、最近注目されているB N T Cという治療法について解説いたします。
はじめに、注目されている新薬についてご紹介します。
今回ご紹介させていただく薬剤のうち、
オータイロカプセル(肺がん)
タスフィゴ錠(胆道がん)
フリュザクラ(大腸がん)
ライブリバント(肺がん)
トロデルビ((乳がん)
ですが、以前に製造販売承認されたということで、ご紹介させていただきました。
ただ、承認されてもすぐに使えるわけではありません。
承認される→薬の値段が決まる→市場に出回る
という流れが必要になります。
そして、これらの薬剤の薬価が、ようやく決まりました。
薬価が決まれば、3ヶ月以内に市場に出ることになります。
もう少しで実際に使えるようになるオータイロカプセル・タスフィゴ錠・フリュザクラ・ライブリバント・トロデルビの詳細についてお伝えしますね。
・オータイロカプセル
効能・効果:ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん
この薬は、ROS1やTRK A/B/Cを選択的に阻害する分子標的薬です。
非小細胞肺がんのうち、約1~2%がROS1融合遺伝子陽性疾患とされており、がん細胞の増殖を抑える効果が期待されます。
・タスフィゴ錠
効能・効果:FGFR2融合遺伝子陽性の切除不能な胆道がん
胆道がんの一部に見られるFGFR2融合遺伝子を標的とする薬剤です。国内では、この分子を標的とした薬剤として3剤目にあたります。
FGFR2融合遺伝子陽性の胆道がんの治療として、新たな選択肢を提供することになります。
・フリュザクラカプセル
効能・効果:治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん
化学療法歴がある結腸・直腸がん患者に対し、腫瘍の増殖を効果的に抑制することが証明されています。
・トロデルビ(点滴)
効能・効果:トリプルネガティブの手術不能または再発乳がん
新たなターゲットとしてTROP-2を標的にした薬剤です。
化学療法歴のある乳がん患者に対する治療効果が認められています。
・ライブリバント点滴静注
効能・効果:EGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の非小細胞肺がん
EGFRおよびMETを標的とする二重特異性抗体を用いた分子標的薬です。
この薬は、標準的治療が難しかったEGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性を持つ患者さんに対して、新たな治療の可能性を提供します。
以上となります。
そして、承認はされていませんが、興味深い治療法を1つご紹介します。
・不眠障害用プログラム「サスメドMed CBT-i不眠障害用アプリ」
医療機器製造販売承認を取得した、不眠障害に対する疾患治療用プログラムです。
このアプリは、認知行動療法を提供し、副作用の少ない非薬物療法として用いることができます。
不眠症で悩まされると、病院では薬を処方することで対処することが多いですが、アプリで治療を試みるということで、注目されています。
海外では既に不眠障害の治療ガイドラインにおいて新たな治療法として推奨されており、今後国内でも保険診療で用いられれば良いと思います。