乳がんのRFA治療について医師が解説
こんにちは。がん治療専門医師の加藤隆佑です。
今回は、乳がんの新しい治療法であるRFA(ラジオ波焼灼療法)について、わかりやすく解説いたします。
RFAとは
RFAは、「Radio Frequency Ablation」の略で、日本語では「ラジオ波焼灼療法」と呼ばれます。この治療法は、がんを切除せずに治療する新しい方法です。
乳がんのRFAの特徴
従来の手術とは異なり、乳房を切除しません。
そして、局所麻酔で治療可能です。短時間の治療( 通常30分〜60以内)で終了します。
さらに、乳房の形を保つことができます。
あるアンケートでは9割以上の人が、コスメという面において満足という結果でした。
そして、入院期間が短いので社会復帰までの時間が非常に短いです。
治療の流れ
超音波でがんの部分を描出します。そして、局所麻酔をした上で、細い針でがんに刺します。その針を通じて熱を加えて、がんの部分を焼却します。
RFAの適応は?
腫瘍の大きさが1.5cm以下の早期乳がんの方です。
さらに、そのがんが、皮膚に近すぎないという条件も必要となります。
また、以下のような条件の場合は、RFAによって、がん細胞を焼却することは可能ですが、同じく、現状ではRFAの適応にはなっていません
・抗がん剤で乳がんが小さくなった結果、1.5cmになった場合
・2cmの乳がん
なぜならば、長期的な期間における治療成績(再発率、生存率)がはっきりしていないためです。
もし、長期的な期間における治療成績がはっきりしたら、「抗がん剤で乳がんが小さくなった結果、1.5cmになった場合」「2cmの乳がん」に対するRFAも行われることになると思われます。
注意点
すべての乳がん患者さんに適用できるわけではありません。治療後も定期的な検査が必要です。
そして、RFAによってがんを焼却しても、再発のリスクはあります。
その再発リスクを減らすために、治療をした側の乳房に対して放射線治療を行うことが多いです。
そうすることで、残っているかもしれない小さな腫瘍細胞を消し、再発を防ぐ効果が期待できます。
ただし、放射線治療をしない場合でも必ず再発するわけではありません。
最後に
RFAは2023年12月から保険適用となった新しい治療法です。ただし、この治療を行える医療機関は限られています。適応があるかどうかは、主治医とよく相談してください。
ちなみに、RFAというのは、IVRという治療法に分類されます。
IVRはインターベンショナルラジオロジー治療の略称であり、画像を使って体内の病変に直接アプローチする治療法です。
通常の手術とは異なり、体に大きな切開を加えることなく、X線、超音波、CTなどの画像を利用しながら、針やカテーテルといった細い医療器具を使って体内の病変へアクセスします。