食道がんが、食道に再発した場合の対処法を医師が解説!光線力学的治療法について
こんにちは。加藤隆佑です。
がん治療を専門に総合病院で勤務している医師です。
本日は、食道がんが、食道に再発した場合の対処法を解説いたします。
食道がんが再発しても、必ずしも再発ではない!
たとえば、食道がんを放射線治療と抗がん剤治療の併用で、治療をした方がいます。
そして、定期の内視鏡検査で、食道にがんを認めますと言われた場合には、2つ可能性があります。
1、以前に、治療をした部位に、がんの遺残があり、そのがんが、再び大きくなってきた。
2、以前に治療をした部位とは、全く別の部位の食道に、新たながんが発生した。
1番の場合は、食道がんの再発と言えます。
しかし、2番の場合は、厳密な意味では食道がんの再発ではなく、あらなた食道がんが、できたと考えないといけません。
再発ではないのです。
このようなことが起こる背景には、食道の中に、違う顔つきの食道がんが、複数できることがあるという事実が挙げられます。
たとえば、粘膜内にとどまっている早期のステージの食道癌と、他の臓器に転移している進行したステージの顔つきの食道がんが、入り混じること(別々の場所にできる)があるということです。
そして、初回の治療では、その癌に気づかれず、抗がん剤と放射線治療後に、その癌の存在が顕在化することは散見されます。
さて、今回は、1番の場合の対処法をお伝えします。
食道がんが、食道に再発した場合の対処法
対処法は、以下の5つです。
1、内視鏡的な切除を行う
再発したがんが、深くに浸潤していない場合は、内視鏡治療により完治を期待できます。
2、放射線治療を行う
ただし、以前に放射線治療を行なっている場合は、同じ部位に、2回目の照射を行うことになります。
これを再照射と言いますが、一般的には、再照射を行いません。
しかし、最近になり、再照射を行う病院が、出てきました。
3、手術
外科的な手術ができそうな時には、手術を検討します。完治を目指せます。
4、抗がん剤
抗がん剤だけでは、なかなか完治に導くことはできませんが、再発した場合には、1つの選択肢になります。
5、光線力学的治療法(PDT)
光線力学的治療法とは、光に感受性のある物質(光感受性物質)を投与して、食道の癌に、光感受性物質を集積させます。
そして、レー ザー光を照射することにより、光化学反応を起こし、癌を選択的に破壊する治療法です。
たとえば、大阪国際がんセンターでは、光線力学的治療法をかなりの事例に対して行なっています。
光線力学的治療法を行い、再発した事例に対しても、光線力学的治療法を行なっています。
さて、光線力学的治療法を行うための一つの基準は、以下の通りです。
- 再発した病変が、食道の壁を深くまで浸潤していたとしても、固有筋層までである。
- 長径3cm以下,そして、食道の半周以下を占めている場合
- 再発した食道がんが、喉のあたりにまで浸潤していない。
光線力学的治療法であれば、再発した病変の完治を期待することもできます。
食道に、食道がんが再発した場合は、光線力学的治療法を行なっている施設にセカンドオピニオンを求めるのも、1つの選択肢になります。