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食道がんが再発。再び放射線治療をできないのか?〜再照射について医師が解説

 2021/03/15 放射線治療コラム  

こんにちは。加藤隆佑です。

がん治療を専門に、小樽の総合病院で勤務をしています。

以前、放射線治療により食道がんの治療を受けた方から、次のようなご質問を受けることがあります。

以前に食道がんで放射線治療を受けました。

今回、食道にがんが再発しました。放射線治療は、以前に受けていたので、抗がん剤治療になると言われました。

仮に、あてたとしても、10グレイという意味のない照射になってしまうそうです。

やはり、完治を目指した放射線治療はできませんか?

結論から言いますと、できることがあります。

食道に放射線をかける範囲が4cm以内ならば、安全に照射できて、半数近くが、消失すると報告した論文もあります。

ただ、施設によっては、再照射をしないところもたくさんあります。

昔の放射線治療の教科書では、放射線を同じ部位に照射することはダメであると書いてあるからです。

そして、そのルールを守っている施設は再照射をしません。そのような施設の方が多いかもしれません。

しかし、最近になり、同じ部位に放射線を照射することも、許容されることがわかってきました。

そして、再照射を積極的にやっている病院も出てきています。

ただ、まだ標準的な治療になっているわけではないので、再照射をやっていない施設は、やりません。

さて、先日も、以下のような経過の患者さんがいらっしゃいました。

食道がんの患者さんで、首のあたりのリンパ節が7cmくらいに腫れ上がる。

放射線と抗がん剤で、リンパ節は2cmくらいになりました。

しかし、最近になり、リンパ節が少し大きくなってきた兆候があったので、再照射をした方が良いと判断しました。

放射線治療をしてくださった医師に相談すると、「再照射はできないから、抗がん剤をするしかない。この病変に再照射は絶対にありえません。」という返答でした。

そこで、再照射を得意とする医師に相談し、そこの医師からは、「再照射は安全にできます」と言っていただき、治療を受けていただくことになりました。

その部位に、50グレイという量の放射線をかけてもらいます。これは、その病変を消失される力がある照射量です。

さて、以下のようなときには、再照射を試みる価値は非常に高いです。

1) 初回治療が効果があったこと

2)治療間隔が6か月程度は空いていること

ちなみに、リスクが高い再照射や、再再照射は、1回あたり0.75グレイを1日2回照射し、放射線をあててはいけない正常な臓器への線量を1回0.3グレイ以下にすると良いそうです。

この内容は、再照射を積極的にやっている全国でも放射線治療では5本の指に入る医師から教えていただいた内容です。

残念ながら、今回記載した再照射の目安などは、教科書には書いてありません。

再照射を積極的に行う病院での膨大な事例から、見つかった法則です。再照射のテクニックを教科書に載せるほど、データはないのです。

しかし、再照射を行う施設は増えており、世界的にも、データは蓄積されてきています。

ゆくゆくは、このような再照射が、もっといろんな病院で受けられるようになることを願います。

本日のまとめ

私は、がん治療に従事して18年経ちますが、がん治療の奥深さに驚かされます。

奥の深さを知れば知るほど、いろんな可能性を視野に入れることができます。

そして、「他の病院では、もうやれることはない」と言われた方であっても、実際は、いろいろとやれることがあることを見つけられることも珍しくありません。

放射線治療に関しても同様で、放射線治療がもうできないと言われても、実は、できるということもあるのです。

特に、以前の治療において、放射線治療が効いた場合は、再照射を検討するべきです。

再照射の実績が多いところの医師に相談してみましょう。

 

 

参考文献:Multimodal approaches including three-dimensional conformal re-irradiation for recurrent or persistent esophageal cancer: preliminary results

 

執筆医師:加藤隆佑


癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医
小樽協会病院の消化器内科主任医長

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門としつつ、がん全般についてアドバイスをしています。

がんの漢方外来も、運営

緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」と、「大腸がんと告知されたときに読む本」を出版。

加藤隆佑医師の論文

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