2024年4月から8月に承認されたがん関連の新薬でインパクトのある薬剤をご紹介
こんにちは。がん治療専門医の加藤隆佑です。
本日は、4月から8月に承認された新薬でインパクトのある薬剤をご紹介いたします。
最もインパクトのある薬剤は、フリュザクラカプセルです。
ステージ4の大腸がんに用いることができます。腫瘍における血管新生を阻害することにより、がんの増殖を抑える効果を示します。
3週間連日経口投与し、その後1週間休薬します。
中国の製薬メーカーの薬で、すでに世界では4カ国で承認されています。
・ヘムサイト解析プログラム
血液がんの遺伝子パネル検査です。
臓器にできるがん、つまり固形癌においては、すでに遺伝子パネル検査をすることができて、それにより、標準治療以外の治療薬を見つけることができます。
ただ、血液癌においては、そのような検査ができなかったのですが、それができるようになりました。とても意義あることです。
・尿路上皮がんに対するパドセブとキイトルーダ併用療法
これまでは、パドセフやキイトルーダは、尿路上皮がん(膀胱がん、尿管がん)に対して使うことができました。ただ、同時に投与することはできませんでした。
そして、この2剤を同時に、初回の治療から、用いることができるようになりました。
・アレセンサが手術後の再発予防のために用いることができました。
アレセンサは、これまではステージ4のALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんに対して用いることができましたが、今後は手術後の再発予防目的にも用いることができるようになりました。
以上は承認された薬剤ですが、実際に使えるまでに少しタイムラグがあります。
ここから先は、非常に有望な薬剤で、厚生労働省に申請された薬剤をご紹介します。1日も早く承認されてほしい薬剤です。
・オータイロカプセル40mg
「ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を対象疾患とする薬剤です。
すでに、ザーコリカプセル(クリゾチニブ)とロズリートレクカプセル(エヌトレクチニブ)の2剤が承認されているが、新たな選択肢ができたことは非常に意義があることです。
・ライブリバント
E G F R遺伝子変異がある肺がんの場合は、タグリッソのような分子標的薬による治療が行われています。
しかし、EGFR遺伝子変異の中でも、エクソン20挿入変異の場合は、分子標的薬を使うことができませんでした。そのような意味で、エクソン20挿入変異のある肺がんの治療は良くありませんでした。
この薬剤を用いることができるようになれば、エクソン20挿入変異のE G F R遺伝子変異がある肺がんの治療成績を大きく底上げすることになります。
毎月、インパクトのある薬剤をご紹介する予定でしたが、最近はそのよう薬剤がありませんでした。
今回は、久しぶりに、そのような薬剤が複数ありましたので嬉しく思っています。