1. TOP
  2. 副作用対策コラム
  3. スチバーガの副作用である手足症候群を減らし、楽に治療を受ける秘訣を医師が解説

スチバーガの副作用である手足症候群を減らし、楽に治療を受ける秘訣を医師が解説

 2021/01/21 副作用対策コラム  

こんにちは。加藤隆佑です。

本日は、スチバーガという薬剤の副作用を減らすために、知って欲しいことを解説いたします。

スチバーガとは、どのような薬剤か?

スチバーガはマルチキナーゼ阻害薬と呼ばれます。

がん細胞の増殖にかかわる部分を、狙い撃ちする分子標的薬の一種です。

以下のような、がんに対して、用いられます。

  • 治癒切除ができない、進行・再発の結腸・直腸がん
  • 治癒切除ができない肝細胞がん
  • 抗がん剤治療後に、悪化した消化管間質腫瘍(GIST)

スチバーガは、どのように内服する薬か?

1 日1回160mgを、食後に3週間連日して、内服します。

その後は1週間、休薬します。

これを1サイクルとして、投与を繰り返します。

スチバーガの副作用は?

いろんな副作用があります。

頻度が高く、注意を要するものは、以下のような副作用となります。

  • 手足症候群
  • 高血圧

手足症候群とは?

体重や、力が、かかる部分に、手足症候群は出現します。

たとえば、手のひらや、足の裏です。

グレード1の手足症候群

はじめの段階では、手足の皮膚の一部に赤みがあらわれたり、見た目の変化はなくても手足に違和感を感じます。この段階では日常生活に影響はありません。

グレード2の手足症候群

さらに悪化すると、皮膚が硬くなって、ひび割れることもあり、痛みによって日常生活に支障が出てきます。

グレード3の手足症候群

もっとひどくなれば、皮膚がさらに硬くなり、ひび割れのほかに水疱や膿疱などがみられるようになります。まれに潰瘍化もみられます。この段階になると、激しい痛みのために日常生活が困難になります。

手足症候群の治療は?

予防編

こまめに保 湿剤を塗り,皮膚の乾燥を防ぐと、予防になります。

主治医から、保湿剤を処方してもらいましょう。

パスタロン®ソフト軟膏や、ヒルドイド®ソフト軟膏が推奨されています。

以下の表のような工夫も必要です。

治療編

グレード1ならば、保湿剤を用いる頻度をします。

グレード2ならば、スチバーガを減量しつつ、ステロイド軟膏を併用して、治療します。

グレード3ならば、ステロイド軟膏(病院で処方)を用います。さらに、グレード1以下になるまで、お休薬をします。

休薬して改善したら、スチバーガを、再開します。

休薬しても、治療成績に影響しない事は判明しています。

再開するときは、一段階減量して、再開することがコツです。

副作用に悩まされないコツが、もう1つあります。

スチバーガを、初回から標準的な用量を投与するよりも、低用量から開始して、段階的に増やすほうが、強い副作用に悩まされないです。

「はじめは、少なめの量からスタート」

これが、とても重要です。

具体的には120ミリグラムからスタートすると良いです。

このような飲み方にしたほうが、強い副作用が出にくいのです。

これは、ヨーロッパの学会で発表されたVall d’Hebron Institute of OncologyのG Argiles氏のデータに基づくものです。

ちなみに、そのようにしても、治療の効果は落ちません。

さて、抗がん剤の副作用に悩まされないようにするためには、漢方を併用することも、重要です。

手足症候群を減らす漢方もあります。

あなたが取り入れるべき漢方は、こちらで学ぶことができます。

 

 

 

 

 

文献:ステバーガ手足症候群対策ポケットガイド

文献:ステバーガ家族と患者さん向けホームページ

 

執筆医師:加藤隆佑


癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医・指導医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医・指導医
札幌禎心会病院がん化学療法センター長

(2021年9月までは、小樽協会病院消化器内科に所属)

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門としつつ、がん全般についてアドバイスをしています。

緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」「大腸がんと告知されたときに読む本」「がんと向き合うために大切なこと」を出版。

加藤隆佑医師の論文

加藤隆佑医師のプロフィールの詳細はこちら

関連記事

  • オキサリプラチンによるアレルギー反応がでても、オキサリプラチンを安全に投与する方法とは?

  • アービタックスやベクティビックスの皮膚障害の改善のコツを医師が解説

  • アブラキサン(パクリタキセル、ドセタキセル)によるしびれ(末梢神経障害)を、予防する方法とは?

  • オプジーボを投与中に、がんが増大したとしても、がんが縮小することがある!

  • 乳がんに用いられるアフィニトールの効果は?口内炎といった副作用を取り除く方法を解説

  • ドセタキセルの副作用である浮腫を解決する方法を医師が解説