こんにちは。がん治療専門医の加藤隆佑です。
本日は2つのがんの薬に関わるお知らせがあります。
「市販薬(OTC)で代替できる“軽い症状”に用いる薬について
病院で処方された場合には、薬剤費の自己負担を増やす方向での議論が進んでいます。
この考え方に基づき、鎮痛薬・抗アレルギー薬・胃薬・湿布などの一部は、自己負担が増えることが決まりました。
ロキソニンという痛み止めも、今回の制度の対象となる薬剤に含まれることが、先日報告されました。
がん診療で使用される痛み止めまで自己負担が増えてしまうのではないかと懸念しましたが、がん治療に関連する理由で使われる場合には、自己負担は増えない方向とされているようであり、良かったです。
未来への希望となる「新しいお薬」 のニュース
年始めのまとめとして、特に注目したい情報をピックアップしてご紹介します。
1.乳がん:待望の「飲み薬」タイプが登場
薬名:イムルリオ
これまで、特定の遺伝子変異がある乳がんの治療では、毎月の「注射」による治療(フェソロデックスなど)が一般的でした。
今回、国内で初めて 「飲み薬」タイプ の同系統のお薬が承認されました。身体への負担が軽くなることが期待されています。
2.前立腺がん:がん細胞を狙い撃ちする「ミサイル療法」
薬名:プルヴィクト
「PSMA」という目印を狙う、画期的な点滴薬です。放射線を出す物質をがん細胞へ直接届ける、まさに 「ミサイル」のような仕組み の治療です。
従来の治療が効きにくくなった進行がんに対し、新たな希望の光となっています。体の内側から放射線を当てるイメージです。
3.大腸がん:より早い段階(1次治療)から使用可能に
薬名:ビラフトビ
特定の遺伝子変異(BRAF)をもつ大腸がんに対し、これまでは「2番目以降の治療」として使われていたお薬が、「最初の治療」から使える ようになりました。
他の抗がん剤や分子標的薬と組み合わせて使用されます。
効果の高い薬を早い段階で導入できるメリットは非常に大きいです。
4.肺がん:HER2変異に対する「初めての飲み薬」
薬名:ヘルネクシオス
肺がんの約4%に見られる HER2遺伝子変異。これまでは点滴のエンハーツが主流でしたが、今回、初めて 飲み薬の選択肢 が加わりました。
5、大腸がん:KRAS G12C変異に対する併用療法
薬名:ルマケラス + ベクティビックス
KRAS G12C変異をもつ大腸がんに対し、2つのお薬を組み合わせて使用する治療が
新たに承認されました。
対象となる方は多くはありませんが、該当する場合には重要な治療選択肢となります。
6、膀胱がん・肺がん:手術の前後に使える免疫療法
薬名:イミフィンジ
膀胱がんにおいて、手術の前後に再発予防目的で使用できる免疫療法として承認されました。
特に膀胱がんでは、この目的で使用できる免疫治療薬は 国内初 となります。
難しい名前のお薬が多いですが、要するに「よりその人に合った、負担の少ない治療」が選べるようになってきている、ということです。
7、卵巣がんにおけるカルボプラチンによる腹腔内化学療法
ようやく保険承認されました。
卵巣がんの治療において、より良い治療成績につながるものと思います。
今後も、新しいニュースをできるだけ分かりやすく、噛み砕いてお届けしていきますね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。