オキサリプラチンによるアレルギー反応がでても、オキサリプラチンを安全に投与する方法とは?
こんにちは。加藤隆佑です。
オキサリプラチンが、がんに対して、非常に効果的な治療薬です。
以下の癌に対して、用いられます。
- 大腸がん
- 胃がん
- 食道がん
- すい臓がん
しかし、問題となる副作用があります。
それは、オキサリプラチンによるアレルギー反応です。
以下のような症状が、でます。
- かゆみ、蕁麻疹
- 皮膚の赤み
- むくみ
症状が強いと、命に関わるような、呼吸困難・血圧低下が出現してしまうこともあります。
しかし、アレルギー反応を抑える効果的な方法があります。
その方法をご紹介していきます。
Contents
アレルギー反応(アナフィラキシー反応)が起きる頻度は?
この副作用が起きる頻度は5%前後とされています。
そして、オキサリプラチン投与を開始して、6クール目以降に、発生しやすいと言われています。
アレルギー反応(アナフィラキシー反応)が起きた時の対処法は?
軽いアレルギー反応であれば、以下のような対応をすることになります。
- オキサリプラチンを投与するスピードを、ゆっくりにする
- アレルギー反応を抑える薬を、投与する
しかし、これらの対処法をしても、アレルギー反応を制御できないことが、多いです。
その結果、オキサリプラチンによる治療を断念しないといけないこともあります。
もし、オキサリプラチンによる治療が非常に効果がでている時に、オキサリプラチンによる治療を断念しないといけない時は、とても残念な思いに駆られることになるでしょう。
さて、アレルギー反応を制御する方法として、試みるべき価値のある方法が、もう一つあります。
脱感作療法という治療法です。
オキサリプラチンによるアレルギー反応に対する脱感作療法とは?
脱感作療法とは、アレルギーの原因となる物質を、微量ずつ繰り返し注射して、過敏性を減らしていく治療法です。
そして、卵巣がんでよく用いられるカルボプラチン という抗がん剤によるアレルギー反応に対しては、脱感作療法の有効性は、示されています。
これを、オキサリプラチンに対して行っても、それなりの効果が、期待できると言われています。
具体的には、以下のような手順で、脱感作療法を行います。
ステップ1:1000倍に薄くしたオキサリプラチン250ccを2時間で投与
ステップ2:100倍に薄くしたオキサリプラチン250ccを2時間で投与
ステップ3:10倍に薄くしたオキサリプラチン250ccを2時間で投与
ステップ4:原液のオキサリプラチン250ccを12時間で投与
このようなステップを踏んで、オキサリプラチンを投与したら、約90%の確率で、アレルギー反応を制御できると言われています。
脱感作治療中に、アレルギー反応がでたら、どうしたらよい?
以下のような薬剤で、対処します。
1) マレイン酸クロルフェニラミン(ポララミン注®) 5 mg 静注
2) エピネフリンの投与
3) 血圧が低下した場合には、乳酸リンゲル液の投与
4) ステロイド投与
5)呼吸状態が悪化したら、酸素投与
脱感作療法の安全性は高いと言われていますが、このような対応ができる環境でないと、脱感作療法を試みるべきではありません。
また、この治療法は、広く普及しているわけではありません。主治医すら、知らない可能性も、高いです。
主治医に、オキサリプラチンによる脱感作療法の論文を持っていき、主治医としっかりコミュニケーションをとり、交渉をしないといけない場面もあることでしょう。
この治療法を試みるために、何個かの障害があるかもしれませんが、1つの選択肢になることは、知ってほしいです。
さて、オキサリプラチンがもし用いることができなくても、それ以外にも有効な治療法があります。