キートルーダがすべてのがんに対して、用いることが可能になりました!
こんにちは。加藤隆佑です。がん治療を専門として、総合病院で勤務しています。
2018年12月21日より、キートルーダが、すべてのがんに対して、用いることが可能になりました。そのことについて解説していきますね。
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キートルーダとは
がん細胞は、増殖するために、免疫細胞の1つであるT細胞に信号を送ることが、あります。
その信号によって、免疫細胞であるT細胞は、がんへの攻撃を弱まってしまいます。
その結果、がんは、増殖しやすくなります。
そして、この信号をブロックするのが、免疫チェックポイント阻害薬です。
この信号をブロックすることは、「一部のがんの方」には、とても意義のあることになります。
「一部のがんの方」と記載したのは、理由があります。
免疫のメカニズムは、とても複雑なものであり、信号をブロックすれば、すべての問題が解決できるわけでは、ないからです。
たとえば、免疫細胞が疲弊しきっていると、免疫チェックポイント阻害薬の効果が乏しくなると、言われています。
また、腸内細菌がよい状態にあると、免疫チェックポイント阻害薬の効果が、アップするというデータもあります。
免疫細胞の元気度が、免疫チェックポイント阻害薬の効果に関係していることは、間違いないようです。
話はそれましたが、キートルーダも、免疫チェックポイント阻害薬の1つに分類されます。
キートルーダは3週に1回、もしくは6週に1回のペースで、30分かけて行う点滴治療です。
これまでは、肺がん、尿路上皮がん、悪性黒色腫、リンパ腫で、用いられていました。
それが、すべてのがんに対して、用いることが、できるようになります。
キートルーダを用いることができる条件は?
すべてのがんに対して用いることは、できます。
ただし、遺伝子検査において、高頻度マイクロサテライト不安定性を確認できることが、条件になります。
高頻度マイクロサテライト不安定性を有するということは、遺伝子の修復機能の低下を示すことになります。
つまり、誤った遺伝子の配列を修復できなくなり、がんの芽を排除することができないことになります。
高頻度マイクロサテライト不安定性の頻度は?
米国のデータでは胃がんや子宮内膜がんでは患者の2割程度とされています。
その次に、小腸がん、大腸がん、子宮頸がん、神経内分泌腫瘍、肝臓がんが、頻度の高いものとして、続きます。
全体では4%程度というデータです。
どのような検査を受けると、マイクロサテライト不安定はわかる?
はじめに主治医からこの検査を通して、遺伝性のがんであることが判明する可能性があるという説明を受けます。
そのことを納得していただいた上で、検査を受けます。
検査に必要なもの
- 正常組織:採血
- 腫瘍組織:がんから、採取した組織
検査料金は21000円かかります。3割負担の場合は、6300円の自己負担です。
キートルーダの効果とは?
高頻度マイクロサテライト不安定性のある大腸がんにキートルーダを投与した場合の治療成績は以下の通りです。
- 奏功率(がんが小さくなる確率):27.9%
- 病勢コントロール率(がんが大きくなるのを防げる確率):50.8%
高頻度マイクロサテライト不安定性のある大腸がん以外のがんに、キートルーダを投与した場合の治療成績は、以下の通りです。
- 奏功率(がんが小さくなる確率):34.9%
- 病勢コントロール率(がんが大きくなるのを防げる確率):59.0%
ちなみに、以下のような方にも、キートルーダの効果が、でやすいとされています。
- がん細胞に発現している PD-L1の割合が高い方
- がん細胞に、リンパ球が集まっている所見がある場合 (TiLs)
- 腸内細菌の状態が良い方
そして、キートルーダには、いろんな副作用はありますが、通常の抗がん剤に比べると、負担の少ない治療になります。
ちなみに、大腸がんの場合は、キートルーダという免疫チェックポイント阻害薬のかわりに、オプジーボとヤーボイという2種類の免疫チェックポイント阻害薬を併用した治療も受けられます。
キートルーダを用いることができないという結果になったときの対処法は?
この検査で、キートルーダの適応ではないという結果になることも、あることでしょう。
そのような場合であっても、遺伝情報から最適な治療薬を選ぶ遺伝子検査を受けるという手段もあります。
さて、これ以上の治療法がないといわれても、がんを抑えるために、すべきことは、あります。
余命宣告をされていたとしても、もっと長く生きることは、できます。
そして、がんに負けない体を作っていきましょう。
そのために、知っておくことがあります。