1. TOP
  2. 子宮頸がんコラム
  3. 子宮頸がんの手術後に、腫瘍マーカーが上昇して、再発を疑わせる時の対処法を医師が解説

子宮頸がんの手術後に、腫瘍マーカーが上昇して、再発を疑わせる時の対処法を医師が解説

 2021/01/21 子宮頸がんコラム  

こんにちは。加藤隆佑です。小樽協会病院というところで、がんを専門に診療をしています。

さて、本日は、子宮頸がんの手術後に、腫瘍マーカーが上昇して、再発を疑わせる時の対処法を解説いたします。

腫瘍マーカーが上昇しても、再発しているとは限らない

実は、多くの腫瘍マーカーは、がん細胞からだけではなく、正常な細胞でも作り出される物質です。

しかし、がん細胞の方が、正常な細胞よりも成長が早いために、がん細胞の方が、たくさんの腫瘍マーカーを作ります。

その結果、腫瘍マーカーが基準値よりも高い時には、身体の中に、がんが存在している可能性が高いと、解釈できます。

そして、手術後に、腫瘍マーカーが上昇してきたときには、再発の可能性を考えることに、なります。

しかし、腫瘍マーカーが基準値より少し高い数値であっても、再発していないことも、あります。

また、がん以外の理由でも、腫瘍マーカーは、高値を示すことがあることを忘れてはいけません。

何個かの腫瘍マーカーを例にとって、その点に関して、説明いたします。

CEA:慢性肝炎、肝硬変、慢性膵炎、肺結核などでも高値を示すことがあり、その確率は20~40%程度と考えられています。

CA19-9:胆管炎、慢性の膵炎や肝炎、閉塞性の黄疸、卵巣脳腫などでも高値を示すことがあり、その確率はおよそ5~10%程度です

CA125:子宮内膜症の50~65%程度、膿疱腺腫の20%程度でも高値を示すことがあります。

ここでいう高値とは、正常域から少しはみ出る程度の数値のことを指します。

腫瘍マーカーが、数千というような数値である場合や、腫瘍マーカーが右肩上がりで上昇する場合には、非常に高い確率で、再発しているか、新たに別のがんが、できていると、推測されます。

子宮頸がんで用いられる腫瘍マーカーは?

子宮頸がんの腫瘍マーカーとして、よく用いられるものは、SCC,CEA,CYFRA,CA125,CA19-9です。

これらの腫瘍マーカーが右肩上がりで上昇するときは、再発した可能性が高いと考えます。

もしくは、新たに、別のがんが、体のどこかにできたと推測します。

そして、CTやPETといった検査で、どこに、がんが存在するかを、確認することになります。

腫瘍マーカーが右肩上がりで上昇してきたらどうする?

定期検査の検査結果で、たまたま、腫瘍マーカーが少しだけ、基準値よりも高い数値になることはあります。

腫瘍マーカが少し上がった程度では、不安に思う必要はないでしょう。

しかし、右肩上がりに上昇する場合は、注意が必要です。

たとえ、正常域内であったとしても、右肩上がりに数値が上昇するときは、がん細胞が、増殖してきている兆候であることが多いです。

がんを抑えるために、なんらかの工夫を付け加えないといけないサインと、言えるかもしれません。

例えば、以下のような事例があります。

60歳代の女性

卵巣がんの手術後に、腫瘍マーカーであるCA125が上昇してくる。

画像上でも、リンパ節に再発した疑いとなる。

しかし、漢方を内服し、腫瘍マーカーは再び下がり、がんの増大は抑えられる。

 

ちなみに、この方に飲んでいただいたのは、大青葉・山豆根という漢方です。

このように、手術後に、腫瘍マーカーが上昇したときには、漢方は非常に重要な役目を果たします。

腫瘍マーカーが上昇する兆候がある時には、なるべく早くがんを抑えるアクションを取るべきです。

そのためにすべきことの1つが、漢方を取り入れることなのです。

子宮頸がんの成長を、強力に抑えられます。

また、子宮頸がんが再発したときには、抗がん剤治療も、有効な治療法となります。

子宮頸がんが再発した時の治療法については、こちらで詳しく解説しています。

また、漢方や食事療法も、がんを抑えて、再発を回避するために、重要なことです。

子宮頸がんを打ち負かす方法は、こちらで学べます。

 

 

 

参考:『子宮頸がん 受診から診断、治療、経過観察への流れ』国立がん研究センターがん報サービス

参考:日本癌治療学会がん診療ガイドライン〜子宮頸がん

参考:current status of clinical evidence for electromagnetic hyperthermia on prospective trials

参考:Complementary Chinese Herbal Medicine Therapy Improves Survival of Patients With Pancreatic Cancer in Taiwan: A Nationwide Population-Based Cohort Study

執筆医師:加藤隆佑


癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医・指導医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医・指導医
札幌禎心会病院がん化学療法センター長

(2021年9月までは、小樽協会病院消化器内科に所属)

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門としつつ、がん全般についてアドバイスをしています。

緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」「大腸がんと告知されたときに読む本」「がんと向き合うために大切なこと」を出版。

加藤隆佑医師の論文

加藤隆佑医師のプロフィールの詳細はこちら

関連記事

  • 子宮頸がんのステージ4でも楽に余命を伸ばす!再発しても打ち勝つ治療を医師が解説