高齢者の方で、抗がん剤の副作用が出やすい方がわかりました。
こんにちは。がん治療専門医の加藤隆佑です。
最近になり、高齢者の方で、抗がん剤の副作用が出やすい方がわかりました。
以下の点で該当するところがないかを確認してほしいです。
・72歳以上:該当すれば 2点
・消化管または尿生殖器原発のがん:該当すれば 2点
・計画された薬剤用量が標準(減量されていない)投与量 :該当すれば 2点
・用いられる抗がん剤の種類が2剤以上を併用:該当すれば 2点
・ヘモグロビンが男性の場合は11g/dL未満、女性の場合は10g/dL未満:該当すれば 3点
・クレアチニンクリアランスが34mL未満:該当すれば 3点
クレアチニンクリアランスの計算方法は以下の通りです。
(計算が大変な場合は、クレアチニンの数値が1以上の時は要注意と考えていただいて構いません。)
・聴力はやや難聴:該当すれば 2点
・過去6カ月間に転倒の既往あり :該当すれば 3点
・服薬に介助を要する:該当すれば 1点
・ワングロック歩くことができない:該当すれば 2点
・過去4週間に肉体的、精神的理由で社会参加が減っている:該当すれば 1点
該当する部分のところの点数を合計してください。
その合計点によって、強い副作用が出る確率がわかります。
この点について、詳しく解説いたしますね。
強い副作用が生じる可能性を「低リスク」「中程度リスク」「高リスク」の3つの段階に分類します。
低リスク:0~5
中程度リスク:6~9
高リスク::10~19
これは、CARGスコアと言います。
リスクごとの重度の副作用の発現率は、低リスクで36.7%、中程度リスクで62.4%、高リスクで70.2%とされています。
つまり、中程度リスク以上の場合は、かなり慎重な抗がん剤の投与が求められることになります。
ただ、そのようなことを意識して抗がん剤治療をしている方は、まだわずかです。
患者さんの置かれた状況によって、臨機応変な抗がん剤の投与ができる医師が増えることを願っています。
引用文献
1)Hurria A,et al:Validation of a Prediction Tool for Chemotherapy Toxicity in Older Adults With Cancer.J Clin Oncol 2016;34(20):2366-71.