2025年夏の新しいがんに関連する薬をご紹介します

こんにちは。がん治療専門医の加藤隆佑です。

暑さが本格的になってきましたが、体調はいかがでしょうか?

私はというと、暑さに負けないように、最近はスパイスカレーをよく作っています。スパイスには、暑さに負けない体づくりをサポートしてくれる働きもあるようです。

もしよろしければ、レシピをこちらでご紹介していますので、ぜひご覧ください。

さて、今回は、がん治療の分野で新たに承認されたお薬について、インパクトのあるものをご紹介いたします。

新しい治療の選択肢が増えることは、希望のひとつでもあります。

・新しいタイプの腎がんの分子標的薬「ウェリレグ」

「ウェリレグ」は、がん細胞の“低酸素状態”に注目した新しい仕組みのお薬です。

口から飲むタイプの薬として、腎臓がんに対して承認されました。

これまでの治療後、がんが進んでしまった方に使うことができます。

この薬は非常に興味深いので、もう少し詳しく解説させていただきますね。

がん細胞は増殖すると、まわりの血管を圧迫してしまい、自分たちで“酸素の少ない環境”を作ってしまうことがあります。

すると、がん細胞はその過酷な状況にも適応し、生き延びるための特殊な仕組みを働かせます。

その仕組みの1つが、「HIF(低酸素誘導因子)」というタンパク質です。

これにより、がん細胞が低酸素でも生き残れるように働き、がんの悪性度を高める原因にもなることができます。

「ウェリレグ」は、このHIFの働きを抑えることで、がん細胞の低酸素環境への適応力を阻害し、増殖や生存を難しくするという、まったく新しいアプローチの薬です。

この薬剤は、他のがんにも活用できそうな気がします。

・肝臓がんに対する新たな併用療法:オプジーボ+ヤーボイ

免疫に働きかける「オプジーボ」と「ヤーボイ」の組み合わせが、肝臓がんの治療として新たに承認されました。

過去の治療歴がない方(初回の全身治療)に使われることを目的とした治験で、有効性が示されています。

・ 子宮頸がんに新しい抗体薬物複合体「テブダック」

がん細胞を狙い撃ちする「抗体」と、がん細胞を壊す「抗がん成分」を組み合わせた新しいタイプのお薬です。

進行した子宮頸がんの治療(2次や3次治療)に使われます。

・EGFR遺伝子変異のある肺がんの“放射線治療後”にタグリッソ

遺伝子変異(EGFR陽性)がある肺がんの方が、化学放射線療法を終えたあとに用いられます。

がんの再燃を抑える目的で用います。

・中皮腫にもキイトルーダが使用可能に

アスベストなが原因となる悪性胸膜中皮腫に対して、

免疫療法薬「キイトルーダ」を用いることができるようになりました。

以上となります。

がん治療は年々進歩していますが、その情報は専門的で難しいこともあります。

今後も、できるだけわかりやすくお届けしてまいりますね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

暑い日が続いていますので、くれぐれもご自愛くださいね。