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肝臓に転移した癌に対する肝動注化学療法という治療法について医師が解説

 2022/04/08 動注療法  

こんにちは。加藤隆佑です。

抗がん剤が効かなくなった場合や、副作用などで抗がん剤治療が行えなくなった場合でも、検討すべき価値のある治療法があります。

それは、肝動注化学療法です。

肝臓の転移巣を制御できれば、もっと長生きができるような場面

そんな時には、肝動注化学療法は、非常に試みる価値が高いです。

肝臓に転移したがんに対する肝動注化学療法の記事を、岩本内科医院の理事長でいらっしゃいます岩本英希先生に監修していただきましたので、ご紹介いたします。

岩本英希先生は、全国でも、かなりの数の肝動注化学療法をされている先生です。

肝動注化学療法とは?

カテーテルを留置して、抗がん剤を直接、肝臓に投与する治療です。

「https://capture.dropbox.com/9nlDDfKx9cb13BXC」より画像を引用

肝臓がんに対しては、肝動注化学療法が行われることは、よくありました。

最近は、抗がん剤が発達したために、肝臓がんに対して、行われる頻度は減ってきています。

肝臓がん以外のがんに対しては、肝動注化学療法は特殊な治療という位置付けで、広くは行われていません。

しかし、治療法がないと言われた方が、この治療により、がんの状態が良くなることは珍しくありません。

さらに、全身に抗がん剤を投与するときよりも、副作用が少ないという特徴があります。

肝動注化学療法の効果は?

岩本先生に、実際に治療を受けた方の治療結果をご紹介します。

こちらは、膵臓がんの肝転移の方です。

(黄色の矢印が病変です。)

(画像は、ガンちゃん先生奮闘記より引用)

治療2ヶ月して、肝臓の転移巣が、小さくなっているのが分かります。

こちらは、大腸がんの肝転移の方です。

(黄色の矢印が病変です。)

<治療前>

<治療後>

(画像は、ガンちゃん先生奮闘記より引用)

こちらも、肝臓の転移巣が、小さくなっているのが分かります。

こちらは、婦人科がんの方です。

(黄色の矢印が病変です。)

(画像は、ガンちゃん先生奮闘記より引用)

小さくなってきています。

どんな時に、肝動注化学療法を検討すべきか?

肝動注化学療法を検討すべき状況は、肝臓の転移巣を制御できれば、もっと長生きができるような場面です。

抗がん剤が効かなくなった場合や、副作用などで抗がん剤治療が行えなくなった場合で、肝臓だけに病変がある時

抗がん剤が効かなくなった場合や、副作用などで抗がん剤治療が行えなくなった場合で、複数の場所に転移はあるが、肝臓以外の病変は比較的落ち着いている時

そのような時には、肝動注化学療法を試みる価値が高いです。

肝動注化学療法は、体への負担は少ない治療法です。つまり、リスクが低い治療法と言えます。

そうであれば、肝動注化学療法を試みることに、躊躇する必要はないはずです。

もし、肝臓の転移巣を制御できれば、もっと長生きができるような状況で、標準的な治療が難しい場合は、肝動注化学療法を検討してもらいましょう。

まだ、この治療ができる施設は少ないのですが、北九州市にある岩本英希先生の病院では、治療の相談に乗ってくださることができます。

岩本英希先生の病院はこちらです。

そして、岩本英希先生のブログはこちらです。

編集後記

最後に、zoomで私と岩本先生で対談をしております。その内容も、ご紹介します。

加藤医師)

記事を監修してくださり、ありがとうございました。

肝動注化学療法はとても有望な治療の1つであることを知ることができました。ありがとうございます。

肝動注化学療法のためのカテーテルを留置するのに、だいたいどのくらいの時間がかかるのですか?

岩本先生)

最初は、カテーテルを留置したりするので2週間程度の入院をお願いします。

カテーテルの留置自体は1時間前後くらいで終わります。

以前は何時間もかかることが多かったですが、最近は、だいぶ、短い時間でできるようになりました。

加藤医師)

すごい早くできるのですね。私も、以前にカテーテルの留置の見学をしたことがありますが。その時も、数時間かかっていましたので、1時間くらいで終わるのは、すごいと思います。

岩本先生)

その後は、外来で動注療法をするか、入院で集中的に動注療法をするか、その時の癌の状況やご本人のご都合で決めながら治療を進めていきます。

加藤医師)

以前は、大腸がんの肝臓への転移の病巣に対して、肝動注化学療法が比較的やられていたと記憶しています。しかし、最近は、あまりされません。なぜでしょうか?

岩本先生)

以前の臨床試験で、大腸がんに対して、全身化学療法と肝動注化学療法の効果の比較が行われました。

そして、肝動注化学療法は全身化学療法と変わらない程度の治療成績になり、大腸がんに対してあまり肝動注化学療法が行われなくなってしまいました。

しかし、だからと言って、肝動注化学療法が駄目であるという結果にはならないと私は思います

全身の抗がん剤治療が効かなくなって、肝動注化学療法を行った方で、効果が出ている人が多くおられます。

どのようなかたに、肝動注化学療法をしっかり見極めることができれば、かなり効果的な治療法になります。

加藤医師)

そうですよね。

私も同感です。

先生の治療が、さらに広がることを祈っております。

本日は、ありがとうございました。

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