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2024年12月に発表された注目価値があるがん新薬のお知らせです。

 2024/12/26 新薬  

こんにちは。がん治療専門医の加藤隆佑です。

先日、フリュザクラという新しい大腸がんの薬が発売され、メール講座でもご紹介いたしました。

現在その薬剤を数人の方に試していますが、今のところは、強い副作用は出ていません。

引き続き、副作用が出ず、良い治療結果が出ることを期待したいです。

さて、本日の本題です。

2024年12月における注目する価値がある新薬に関してお知らせします。

・ダトロウェイ

抗がん剤治療歴のあるホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は、再発乳がんに対して用いることができる薬剤です。

・イムデトラ

抗がん剤治療後に増悪した小細胞肺がんに用いることができる薬剤です。

この2つはとてもインパクトのある薬剤となります。

使用できるようになるまでに数ヶ月かかりますが、もう少しで使えることになることでしょう。

最近は、いろんな種類の抗体薬物複合体が開発されてきています。

先ほどご紹介させてもらったダトロウェイや、先月ご紹介させてもらったトロデルビも、そのような薬剤です。

抗体薬物複合体は、がん細胞を特異的に標的とする抗体と、強力な細胞毒性を持つ抗がん剤を結合させた薬剤です。

この技術の特徴は以下の通りです。

高い選択性:抗体ががん細胞特有の分子を認識し、薬物を直接がん細胞に送達します。

効果的な抗腫瘍作用:がん細胞内で抗がん剤が放出され、強力な殺傷効果を発揮します。

副作用の軽減:正常細胞へのダメージを最小限に抑えつつ、がん細胞を効果的に攻撃します。

つまり、従来の抗がん剤の課題であった正常細胞への影響を軽減しながら、がん細胞に対して選択的かつ効果的に作用する革新的な治療法となります。

ただ実際に使ってみますと、副作用が激減するということまでには至らないので、今後の技術の発展に期待したいところです。

年末に向けてご多忙な日々をお過ごしのことと存じますが、くれぐれもお体をご大切にお過ごしください。

執筆医師:加藤隆佑


癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医・指導医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医・指導医
札幌禎心会病院がん化学療法センター長

(2021年9月までは、小樽協会病院消化器内科に所属)

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門としつつ、がん全般についてアドバイスをしています。

緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」「大腸がんと告知されたときに読む本」「がんと向き合うために大切なこと」を出版。

加藤隆佑医師の論文

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