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2023年1月2月に発売された、がんに関わる薬剤でインパクトのある薬剤についてご紹介

 2023/04/24 新薬  

こんにちは。加藤隆佑です。

本日は、2023年1月2月に発売された、がんに関わる薬剤でインパクトのある薬剤についてご紹介します。

実際に投与可能になるのに、タイムラグが生じることにはご留意ください。

1、 エンハーツ

以前に以下のようなご紹介いたしました。

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これまでエンハーツは、HER2というたんぱく質が、たくさん認められる乳がん、いわゆるHER2陽性の乳がんに対してしか、用いることができませんでした。

そして、HER2というたんぱく質が、ほんの少ししか認めない乳がん、つまり、HER2陰性乳がんには、用いることができませんでした。

しかし、HER2というたんぱく質が、ほんの少ししか認めない乳がんに対しても、エンハーツが非常に効果的であることが、判明したのです。

HER2陰性とされた乳がんの方の中には、HER2というたんぱく質が全く存在しない方もいますので、その場合は、エンハーツを使えませんが、HER2を少しだけ認めるHER2陰性の乳がんに対しては、エンハーツは非常に期待のできる選択肢になるのです。

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そして、ようやく、薬食審・第二部会で了承されました。

あと少しで、投与可能になることでしょう。

これまでHER2陰性乳がんと言われた方の半数が、この治療の恩恵を預かるとされています。

2、オプジーボ

オプジーボですが、これまで、胃がん、肺がんで用いられていました。

そして、今後は、肺がんの手術前に、抗がん剤と併用する形で、オプジーボを投与することができるように、なります。

治癒を目的とした外科手術が可能な肺がんの30~55%で再発すると言われていますが、再発率をさらに低下させることが期待されます。

3、ニュベクオ錠

遠隔転移を有する前立腺がんに用いることができるようになりました。

ドセタキセルと併用することが前提になります。

ところで、先日、以下のような報告がありました。

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ホルモン受容体陽性でイブランスという薬を内服中の乳がんの方が、プロトンポンプ阻害薬という胃薬を飲むと、プロトンポンプ阻害薬を飲まない方と比べると、治療成績が下がる。

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つまり、プロトンポンプ阻害薬という胃薬を飲みながらイブランスを飲むと、イブランスの乳がんを抑える効果が落ちるということです。

乳がんに限った話ではないのですが、プロトンポンプ阻害薬には、それ以外にも、様々な弊害のある可能性がある薬です。

プロトンポンプ阻害薬を止められるときには、止めた方が、より良い治療成績になる可能性が高くなると考えます。

ただ、注意点があります。

バイアスピリンという薬を飲む場合には、副作用対策として、プロトンポンプ阻害薬の併用が重要とされています。

そのような方は、プロトンポンプ阻害薬を飲み続ける必要があると言えます。

それ以外の場合は、プロトンポンプ阻害薬をあえて用いなくても、他の種類の薬剤で代用がききます。

もし、プロトンポンプ阻害薬を飲んでいる場合は、止めることができないかを一度は検討してみる価値はあることでしょう。

執筆医師:加藤隆佑


癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医・指導医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医・指導医
札幌禎心会病院がん化学療法センター長

(2021年9月までは、小樽協会病院消化器内科に所属)

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門としつつ、がん全般についてアドバイスをしています。

緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」「大腸がんと告知されたときに読む本」「がんと向き合うために大切なこと」を出版。

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