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標準治療をやり尽くした大腸がんの治療法について医師が解説

 2023/04/23 大腸がん  

こんにちは。加藤隆佑です。

札幌の総合病院で腫瘍内科医として勤務している医師です。

本日は、標準治療をやり尽くした大腸がんの治療法について解説いたします。

1、抗EGFR薬を投与できないかを再検討する

大腸がんと診断されたときに、RAS遺伝子が変異があって、アービタックス・ベクティビックスといった抗EGFR薬が使えない方であっても、がん治療中に、RAS遺伝子変異が消失することがあります。

そのようなことが起きる割合は2から3割と言われています。

したがって、もう一度、RAS遺伝子の変異を調べてもらうと良いです。

Onco beamという検査です。採血で調べることができます。

その検査で、RAS遺伝子変異がなければ、アービタックス・ベクティビックスといった抗EGFR薬を使うことができます。

そして、以下のような方も、抗EGFR薬を再び投与することで、抗EGFR薬の治療効果が再びでることもあります。

過去に抗EGFR薬による治療をうけて途中から効かなくなった方で、最後に治療をうけてから1年以上たっている

そのような場合も、Onco beamという採血検査で、もう一度、RAS遺伝子の変異の有無を調べてもらう必要と、治療効果が出る可能性が高いかを事前に推測できます。

注意点として、肺転移しかない場合ですと、Onco beamによる正確な検査結果がでないことがあります。

抗がん剤が非常に効いているタイミングで、この検査をした場合も、正確な検査結果がでないことがあります。

したがって、がんが悪化しているタイミングで、この検査をすることが大事です。

2、オキサリプラチンの再投与の検討

以前にオキサリプラチンを併用した抗がん剤治療を受けた方でれば、もう一度、オキサリプラチンを併用した化学療法を検討することもできます。

ただし、以下のような条件が前提です。

・以前にオキサリプラチンを併用した抗がん剤治療で、治療効果が出た。

・オキサリプラチンの最終投与から数ヶ月以上間隔が空いている。

これら2つの方法以外にも、大腸がんの西洋医療をやり尽くしてしまったときの検討すべき価値のある治療があります。

私も非常に愛用している治療で、副作用がほとんどなく、約8割の方に効果が期待できる治療法はこちらです。

 

執筆医師:加藤隆佑


癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医・指導医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医・指導医
札幌禎心会病院がん化学療法センター長

(2021年9月までは、小樽協会病院消化器内科に所属)

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門としつつ、がん全般についてアドバイスをしています。

緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」「大腸がんと告知されたときに読む本」「がんと向き合うために大切なこと」を出版。

加藤隆佑医師の論文

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