胃がんステージ4の方のブログに対する、現役医師の考えを述べます。
こんにちは。加藤隆佑です。がん治療を専門に総合病院で勤務しています。
胃がんのステージ4になって、抗がん剤治療を受けらている方のブログを拝見しました。
治療中の様々な思いや、副作用に対する悩みなどが、書かれていました。
人によって、ぶつかる困難は異なるかと思いますが、適切に対処をしたら、乗り越えられるものが多いです。
実際のブログ記事に書かれていた悩みなどに対して、私ならばどのように対処するかを、考えてみました。
1、ブログで書かれているお悩みで、よくあるパターンのものを物語風にしてご紹介します。
抗がん剤治療が始まったが、妻は「抗がん剤は元気な細胞も攻撃するからやめたい」とよく口にしていました。妻は抗がん剤は体に良くないと、標準治療には前向きではなかったのです。
そのことが原因で、何度か喧嘩になることもありました。
私としては、子供達のためにも癌をやつけて元気になってほしいし、治療を頑張ってほしいと思います。
しかし、実際に自分が抗がん剤を飲んでいるわけではないので、治療を頑張るように言うのは簡単なことではあるけど、本当に副作用がきついんだと思います。本人にしか分からない辛さ苦しさもあると思います。
<医師からの視点による意見>
抗がん剤といえば、元気な細胞も攻撃するから、とても不安な気持ちを訴えられる方はいらっしゃいます。
だからこそ、その副作用を抑える工夫を医師はしないといけません。副作用を0に近づければ、元気な細胞へのダメージは、ほとんど与えずにすみます。
私が担当させていただいている患者様に関しては、漢方や抗がん剤の量の工夫を心がけています。
幸いにも、副作用で悩まされる人は、あまりいません。
しかし、なかなか副作用を取り除けないことも、滅多にないのですが、経験することはあります。
副作用で悩まされることは、個人差はあると同時に、副作用のコントロールする医師の腕にもかなり左右されるかなという印象があります。
同時に、患者さんサイドで、副作用対策でできることもあります。例えば、漢方を取り入れることです。
自宅で取り入れることができる漢方も、副作用を減らしてくれます。
そのような工夫をすることによって、体への負担を抑えれば、治療に対する姿勢に変化がでるのかもしれません。
妻が癌と告知されてから色々と考えさせられることがありました。普通にご飯が食べれることが、どれだけ幸せなことなのか改めて感じました。ご馳走でなくても、普通に食べれること本当に幸せなことなんだと。
家族の大切さも感じました。
<医師からの視点による意見>
私も、体調が崩れて大変だったことがあります。その時には、同じことを感じました。
普通に生きていることだけでも、すごいことなんだと思います。
肝臓と胃のがんも、抗がん剤で小さくなってるとの結果でした。
このまま治るのではないかと思い、「癌が消えることはないんですか?」と聞くと
「今は抗がん剤が効いていますが、いずれ効かなくなります。その時は次の薬に切り替えましょう」とのこと。
そして見せられた絵に余命が書いてあった。うれしかったのに、いきなり地獄に落とされた感じ。
もう少し親身になってくれると、頑張ろうと思うのに、がっかりしました。
妻はもともと、担当の主治医が嫌いみたいで信頼してなかったようですが、私も診察について行って、妻の気持ちが分かりました。
<医師からの視点による意見>
頻度の高い話ではないのでしょうが、抗がん剤が効いて、手術をして、寛解状態に持っていける患者さんもいらっしゃいます。
治らないと決めるける必要はありません。
そして、この主治医は悪気があったわけないのでしょう。しかし、患者さんの気持ちを察しない言葉を発することが多い医師も、一部いらっしゃいます。
その結果、患者さんは、落ち込み、食欲もなくなってしまう。
そのような方もいらっしゃいます。
そのようなことが頻繁にあるならば、、主治医を変えた方が良いかもしれません。
気は病からという言葉もある通り、ネガティヴな気持ちに支配されすぎると、良い治療結果につながないからです。
主治医を変えることに抵抗がある方は多いかと思いますが、思い切って主治医を変更してもらったら、よかったというお声を聞くことはよくあります。
最後に今日のまとめです。
がんの治療においては、いろんな工夫ができます。
ちょっとした工夫で快適な治療にすることもできます。