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子宮体がんに対するホルモン療法の効果を医師が解説

 2021/01/14 子宮体がん  

こんにちは。加藤隆佑と申します。総合病院でがん治療を専門に勤務しています。

本日は、子宮体がんに対するホルモン療法の効果について説明いたします。

子宮体がんを手術で切除できるならば、最もベストな治療法といえます。

しかし、妊娠を希望される場合は、子宮を切除することは、避けたいことです。

もし、子宮体がんが、以下の条件を満たすのであれば、子宮を残す治療法が選択することができます。

  • 高分化型内膜がん、もしくは子宮内膜異型増殖症の状態
  • 早期の段階

以上の条件を満たすときは、ホルモン療法を試みる価値が高いです。

約80%くらいの方は、がんを完全に消失させることができます。

ホルモン療法に用いられる薬とは?

ヒスロンHという薬を、1日あたり400から600ミギグラム内服します。

もし、病変が消失したら、ヒスロンHの内服をストップします。そして定期的に、再発がないかどうかを、子宮の内膜の生検や細胞診で確認します。

1年内服しても、病変が消失しない場合は、さらに、ヒスロンHを飲み続ける意義があるかどうかを慎重に検討しないといけないことに、なっています。

ちなみに、5ヶ月前後で、がんが消失するとされています。

ホルモン療法の問題点

ホルモン療法の問題点は、再発率が高いことです。

約半数の方が再発するとされています。

再発した場合は、手術で治療をしていくことになります。

再び、ホルモン療法を試みることもあります。

再発した方にホルモン療法をすると、約8割前後の方のがんが、消失するというデータもあります。

本日のまとめ

子宮を温存するために、ホルモン療法は検討する価値がある治療法です。

妊娠を希望される場合は、ホルモン療法を主治医に検討してもらいましょう。

執筆医師:加藤隆佑


癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医・指導医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医・指導医
札幌禎心会病院がん化学療法センター長

(2021年9月までは、小樽協会病院消化器内科に所属)

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門としつつ、がん全般についてアドバイスをしています。

緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」「大腸がんと告知されたときに読む本」「がんと向き合うために大切なこと」を出版。

加藤隆佑医師の論文

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