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肺がんの検査の方法と費用ならびに検査の期間を医師が解説!楽に検査を受ける秘訣とは?

 2021/01/19 肺がん  

こんにちは。山本洋平です。総合病院でがん治療を専門として働いています。

もし、あなたが、肺がんを疑わせる症状がある時は、検査を受けて欲しいです。

肺がんは、早期発見できれば、完治が望める病気だからです。

本日は、肺がんの診断のために必要な検査と費用について、解説いたします。

肺がんの初期症状(自覚症状)

はじめは、ほとんど症状がありません。病状の進行とともに、せき、たん、血痰(血の混じったたん)、発熱、呼吸困難、胸の痛みなどの症状があらわれます。

しかし、これらは、肺がんでなくても、起こりうる症状です。複数の症状がみられたり、長引いたりした場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

また、症状がなくても、検診の胸部X線検査やCT検査にて、発見されることもあります。

肺がんを疑う症状がある時の検査とは?

肺がんの胸部X線検査

肺にがんを疑う影があるかを調べます。

すぐにできて、広く普及している検査です。集団検診でも、用いられています。

しかし、この検査ですと、非常に小さな肺がんを、指摘できないことがあります。

肺がんのCT検査

胸部レントゲン写真だけでは、肺がんの診断をつけることは、難しいです。

CTをとれば、より細かな情報を得ることができます。

CTの画像所見から、肺がんの可能性が高いかどうかの、見当をつけることができます。

CT検査から、以下の情報を得ることもできます。

  • 臓器(肺や肝臓など)への転移の有無
  • リンパ節への転移の有無

肺がんの広がりを確認する上でも、CT検査は必須です。

以上の検査と並行して血液検査をすることが、多いです。

肺がんにおける血液検査とは?

血液検査によって、以下のことがわかります。

1、腫瘍マーカー

肺がんではCYFRA21-1、CEA、SCC、SLX、CA125、NSE、proGRPと呼ばれる腫瘍マーカーなどを検査します。

しかし、肺がんがあっても、必ずしも腫瘍マーカーが上昇するとは限りません。

腫瘍マーカーは、手術後の再発のチェックや抗がん剤治療の効果判定の参考に使われます。

2、臓器の機能が正常化かどうか?

腎機能や肝臓の機能を確認します。

もし、これらの臓器の機能が低下しているようであれば、手術や抗がん剤治療による合併症が起こりやすくなります。

糖尿病がないかどうかも、チェックします。

糖尿病があり血糖値が高いときは、肺がんの治療の前に、糖尿病の治療を優先しないといけないことも、あります。

以上の検査結果を統合して、肺がんの可能性が高いかどうかを判断します。

肺がんの可能性が高い場合は、肺がんを疑わせる場所から細胞を採取します。

肺がんの病理検査とは?

肺がんを疑わせる場所から細胞を採取します。

その細胞を顕微鏡で観察して、本当にがんなのかを調べる検査のことを、病理検査といいます。

細胞の採取の仕方には、3通りあります。

1、肺がんの喀痰細胞診

がんの組織が混ざって、痰が排出されることがあります。

そこで、痰を採取して、がん細胞の有無を確認します。

1回だけの検査ではがん細胞を発見しにくいため、数日かけて何回か繰り返し痰を採って検査します。

2、肺がんの気管支鏡検査

気管支鏡と呼ばれる内視鏡を、鼻または口から挿入します。

そして、気管支の中を観察し、がんが疑われる部位の組織や細胞を採取します。

検査前に喉や気管の痛みを軽減するため、局所麻酔を行った上で行います。さらに、少し眠くなる注射を用いて、楽に検査をうけられるようにすることもあります。

3、肺がんの針生検による検査

気管支鏡検査では、細胞を採取できない見込みが高いときや、気管支鏡検査をしても、診断ができなかった場合に行います。

CTや超音波装置で確認しながら、皮膚から細い針を肺に刺して組織を採取して調べます。

気管支鏡検査と比較して、気胸などの合併症を起こす可能性が高いです。

以上の検査を通して、肺がんの最終診断をつけます。

肺がんの細胞を採取できなかった場合には、診断と治療を兼ねて、肺がんを疑わせる病巣を、切除することも、あります。

肺がんの広がりを決定するための検査で、さらに以下の検査が追加されることが、多いです。

  • PET
  • 骨シンチグラフィー

肺がんのPET検査とは?

がん細胞は、ブドウ糖を取り込む性質があります。

そこで、放射性ブドウ糖液を注射し、それがどの部位で取り込まれるかを確認しようというのが、PET検査です。

放射性ブドウ糖液が取り込まれた部位に、肺がんはあると推測できます。

PET検査の結果、「CT検査では、問題ないと判断された場所」に、肺がんの転移が指摘されることがあります。

肺がんの骨シンチ検査とは?

肺がんは、骨に転移しやすいがんです。

したがって、骨に転移していないかどうかを、骨シンチという検査で、確認する場合があります。

以上の検査を通して、以下のように、ステージが決まります。

肺がんの検査費用と、検査の期間は、どのくらいかかるのか?

実際の肺がんの外科的な手術を行った患者さんの事例で、検査費用をお示しします。

(患者様の置かれている状況や、病院によって、実施される検査内容が異なります。1つの目安としてご覧ください。)

初診料:約3000円

再診料:約700円

胸のレントゲン写真:約2100円

CT検査:約16000円

気管支鏡を用いて細胞を採取する検査:約48000円

気管支鏡で採取した細胞を、顕微鏡で確認する検査(病理検査):約15000円

採血検査:約12000円

ここまでの検査は3日ほどで終わります。

今回のケースは合計97500円かかっています。

(実際の負担額は97500円のうちの1割から3割です。)

以上の検査で、肺がんが強く疑われたので、さらに、以下の検査に進みます。

PET検査骨:約75000円

コツシンチグラフィー:約22000円

肺活量の検査:約2000円

心電図検査:約1300円

そして、お金の負担を減らすためのコツは、こちらで解説しています。

 

参考:『肺がん 受診から診断、治療、経過観察への流れ』国立がん研究センターがん報サービス

参考:日本癌治療学会がん診療ガイドライン〜肺がん

執筆医師:山本洋平
札幌禎心会病院の消化器内科医師

(2021年9月までは、小樽協会病院消化器内科に所属)

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門と同時に、呼吸器領域の治療にも知識が豊富です。

消化器病学会専門医、総合内科専門医、日本肝臓学会 肝臓専門医、消化器内視鏡学会所属

山本洋平医師の関わる論文

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