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胃がんが再発した時の症状を、再発部位ごとに医師が解説!

 2021/01/20 胃がん  

こんにちは。山本洋平です。小樽協会病院というところで、がんを専門に診療をしています。

再発とは、手術などにより、いったんは治ったように見えていたがんが、再び出現してきた状態をいいます。

そして、胃がんの手術後、一番気がかりなのが、再発しないかということです。

本日は、胃がんが再発したときの症状を、再発部位ごとに解説いたします。

同時に、胃がんが再発しやすい場所も、説明いたします。

胃がんが再発しやすい場所は?

胃がんが再発する場合には,腹膜再発、肝臓への再発、リンパ節への再発,残った胃への再発が多いです。

そして、頻度は低いですが、肺・骨・脳などの臓器に再発することも、あります。

大半のケースにおいて、手術を終えて5年以内に再発します。

5年を過ぎれば、再発の危険は、ほとんどないです。

腹膜播種として再発した場合の症状

お腹の中に、腹膜という部位があります。そこに、種がまかれるように、バラバラと、がんが広がることを腹膜播種(ふくまくはしゅ)と言います。

胃がんにおいては、腹膜播種の形態で再発することは、多いです。

腹痛や便秘といった症状が出ます。

腹膜播種がひどい状況になると、腹水がでて、お腹がはります。

お腹がはることがきっかけで、胃がんの再発がわかることは、珍しくありません。

胃がんの術後に、お腹がはるという症状がでたときには、早めに病院を受診しましょう。

もし、腹膜播種として再発した場合には、抗がん剤治療が中心となります。

そして、非常に強力に腹膜播種を制御するための特殊な治療法があります。

お腹の中に、直接抗がん剤を投与するという方法です。

腹腔内化学療法と言われます。腹腔内のがん細胞を制御するのに、有効な治療法です。

それによって、腹膜播種が綺麗に、消えるケースも、あります。

問題点として、この治療法が広く普及はしておらず、一部の施設でしか行われていないことです。

胃がんで腹水多量で、お腹がパンパンになったときの対処法

腹水でお腹が張って辛いという症状をとるために、小さな針をお腹にさして、腹水を抜くことがあります。

腹水だけを抜くと、体の栄養成分も、抜けてしまうことが、注意点として、挙げられます。

そのことを避けるために、腹水を抜いた後に、腹水を「ろ過+濃縮」して、腹水の中の栄養分だけを体内に戻す、腹水ろ過濃縮再静注法(CART)を行うことがあります。

肝臓に再発した場合の症状

「再発したがんが、肝臓の大半を、占拠した段階」に至ってから、肝臓に再発したことによる症状がでることが多いです。

例えば、黄疸といった症状です。

肝臓に再発しても、初期の段階では、症状はでないでしょう。

ちなみに、採血で肝機能障害が出現した時に、「肝臓に再発したからだろう」と心配される方が多いですが、そうではありません。

大半のケースは、がん以外の原因です。例えば、薬剤による肝機能障害などです。

ちなみに、肝臓に再発した場合は、抗がん剤治療で制御していくことになります。

もし、肝臓への再発の数が少数であり、肝臓以外にがんが存在せず、さらに、肝臓のがんの状態が長期間にわたって落ち着いているときは、以下の治療法が検討されることもあります。

  • 放射線治療
  • 手術

リンパ節に再発したときの症状

リンパ節に再発した場合であっても、初期の段階では、症状はありません。

しかし、リンパ節に再発したがんが、大きくなると、症状がでることがあります。

大きく腫れたリンパ節が、神経に触れれば、痛みがでます。

腫大したリンパ節が、臓器を圧排すれば、それに伴う症状が出ます。例えば、腫大したリンパ節が、胆汁の流れ道を、押しつぶせば、黄疸が出現するといった感じです。

どの部位のリンパ節に再発して、さらにそのリンパ節がどの程度、腫れるかによって、症状は異なります。

ちなみに、リンパ節に再発している癌は、抗がん剤治療で制御していくことになります。

もし、リンパ節への再発が、一部分だけにとどまるときは、放射線治療を検討することもあります。

残った胃に、胃がんが、再発したときの症状

残った胃に再発しても、大半のケースにおいては、症状はありません。

発見されるきっかけは、以下のどれかであることが多いです。

  • 再発したがんによって、貧血が出現する
  • 定期検査で行われる胃カメラで、手術のつなぎ目や、残った胃に再発が見つかる

さて、胃がんを早期に発見すると、胃がんを治癒にもっていける可能性は、高くなります。

だからこそ、胃がんの再発を疑わせる症状があるときには、早く病院を受診しましょう。

 

 

 

参考資料:『胃がん 受診から診断、治療、経過観察への流れ』国立がん研究センターがん報サービス

参考資料:日本癌治療学会がん診療ガイドライン〜胃がん

執筆医師:山本洋平
札幌禎心会病院の消化器内科医師

(2021年9月までは、小樽協会病院消化器内科に所属)

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門と同時に、呼吸器領域の治療にも知識が豊富です。

消化器病学会専門医、総合内科専門医、日本肝臓学会 肝臓専門医、消化器内視鏡学会所属

山本洋平医師の関わる論文

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