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食道癌の検査の方法と費用ならびに検査の期間を医師が解説!楽に検査を受ける秘訣とは?

 2021/01/19 食道がん  

こんにちは。山本洋平と申します。総合病院でがん治療を専門の1つとして働いています。

もし、あなたが、食道がんを疑わせる症状がある時は、検査を受けて欲しいです。

食道がんは、早期発見できれば、完治が望める病気だからです。

本日は、食道がんの診断のために必要な検査と費用について、解説いたします。

食道がんの初期症状(自覚症状)

食道がんは、初期には自覚症状がないことが多く、人間ドックの内視鏡検査などで発見されることが、20%近くあります。

無症状で発見された食道がんは、早期であることが多く、治る確率が高くなります。

食道が、しみるような感覚は、食道がんの初期の症状です。

がんが、さらに大きくなってくると、食物がつかえるような感覚、胸の痛み・背部の痛み、声のかすれが、でます。

食道がんを疑う症状がある時の検査とは?

内視鏡検査

食道がんの症状がある場合は、内視鏡検査を受けることになります。その検査によって、食道がんが、あるか無いかは、はっきりします。

内視鏡検査で、異常所見がなければ、心配はないでしょう。

もし、食道がんを疑わせる病変があれば、疑わしい部位から細胞を採取しつつ、以下のことを確認します。

  • 病変の位置
  • がんが、どの程度広がっているか?
  • がんが、食道の壁にどの程度の深さまで食い込んでいるか?

食道がんが、かなり広い範囲に広がっていても、食道の壁に食い込んでいる程度が浅ければ、内視鏡的に切除できます。

食道の壁に食い込んでいる程度が浅いとは、食道がんが粘膜内にとどまっていることを指します。

また、内視鏡の検査は辛いことが多いので、鎮静剤という少し眠くなる注射をして、検査を受けるケースが多いです。

そのようにすれば、かなり楽に検査を受けることができます。

ここから先は、食道がんの診断になった場合の検査の進め方、並びに治療法を解説していきます。

食道がんにおける血液検査とは?

血液検査によって、以下のことがわかります。

腫瘍マーカー

食道がんではSCCと呼ばれる腫瘍マーカーなどを検査します。

がんがあっても、必ずしも腫瘍マーカーが上昇するとは限りません。

腫瘍マーカーは、手術後の再発のチェックや抗がん剤治療の効果判定の参考に使われます。

臓器の機能が正常化かどうか?

腎機能や肝臓の機能を確認します。

もし、これらの臓器の機能が低下しているようであれば、手術や抗がん剤治療による合併症が起こりやすくなります。

糖尿病がないかどうかも、チェックします。

糖尿病があり血糖値が高いときは、食道がんの治療の前に、糖尿病の治療を優先しないといけないことも、あります。

貧血はないか?

食道がんからの出血により、貧血になることがあります。

もし貧血が強いならば、輸血をしないといけません。

食道がんの超音波内視鏡検査とは?

内視鏡検査の1つです。

内視鏡の先端についた超音波装置を用いて、食道の壁の状態や、食道の外の状態を知ることができます。

その結果、以下のことを知ることができます。

  • 食道がんが、どのくらい深く広がっているか
  • 周りの臓器まで広がっていないか
  • 食道の外側にあるリンパ節に転移していないか

食道がんのCT検査

以下のことを確認するために、CT検査をします。

  • 臓器(肺や肝臓など)への転移の有無
  • リンパ節への転移の有無
  • 食道の周りの臓器(気管や心臓など)へ食道がんが浸潤していないか?

以上の検査結果を通して、治療方針をほぼ決定できます。

病院によっては、さらに、以下のような検査が追加されることが多いです。

食道がんのバリウム検査

バリウムをのんで、食道の形や粘膜などの状態を、X線写真で確認する検査です。

食道がんのPET検査

がん細胞は、ブドウ糖を取り込む性質があります。

そこで、放射性ブドウ糖液を注射し、それがどの部位で取り込まれるかを確認しようというのが、PET検査です。

放射性ブドウ糖液が取り込まれた部位に、食道がんはあると推測できます。

PET検査の結果、「CT検査では、問題ないと判断された場所」に、食道がんの転移が指摘されることがあります。

以上の検査をした上で、最終的な治療方針が決定されます。

検査結果より、以下のような状況であれば、食道がんを手術で取り除けることになります。

  • リンパ節の転移があったとしても、食道の周囲にとどまってるとき
  • 肝臓や肺といった臓器に転移がないとき
  • お腹や胸の中に、食道がんが、ばらまかれている所見(腹水や胸水など)がないとき

食道がんの検査費用と、検査の期間は、どのくらいかかるのか?

実際の食道がんの外科的な手術を行った患者さんの事例で、検査費用をお示しします。

(患者様の置かれている状況や、病院によって、実施される検査内容が異なります。1つの目安としてご覧ください。)

初診料:約3000円

再診料:約700円

上部内視鏡検査(胃カメラ):約14000円

胃カメラで採取した細胞を、顕微鏡で確認する検査(病理検査):約15000円

CT検査:約16000円

採血検査:約10000円

ここまでの検査は2日ほどで終わります。

今回のケースは合計59400円かかっています。

(実際の負担額は59400円のうちの1割から3割です。)

以上の検査で、食道がんが強く疑われたので、さらに、以下の検査に進みます。

食道のバリウム検査:約4000円

PET検査骨:約75000円

手術をすることになったので、さらに、以下の検査を行うことを行いました。

胸のレントゲン写真:約2100円

肺活量の検査:約2000円

心電図検査:約1300円

そして、お金の負担を減らすためのコツは、こちらで解説しています。

 

参考:『食道がん 受診から診断、治療、経過観察への流れ』国立がん研究センターがん報サービス

参考:日本癌治療学会がん診療ガイドライン〜食道がん

執筆医師:山本洋平
札幌禎心会病院の消化器内科医師

(2021年9月までは、小樽協会病院消化器内科に所属)

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門と同時に、呼吸器領域の治療にも知識が豊富です。

消化器病学会専門医、総合内科専門医、日本肝臓学会 肝臓専門医、消化器内視鏡学会所属

山本洋平医師の関わる論文

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