アービタックスやベクティビックスの皮膚障害の改善のコツを医師が解説
こんにちは。加藤隆佑です。
アービタックスやベクティビックスという分子標的薬があります。
とても効果がある薬なのですが、副作用である皮膚障害に悩まされることが多いです。
ちなみに、どちらも、効果はほぼ同じとされていますが、ベクティビックスの方が、皮膚障害の頻度はやや多いという報告もあります。
その副作用を取るために、取り入れるべきことをお伝えします。
Contents
1、保湿
保湿を心がけるだけで、皮膚障害は軽くなります。
こまめに、保湿クリームを塗りましょう。
例えば、ヒルロイドローションという塗り薬はとても良いです。
保険診療で処方してもらえます。
ちなみに、最近は、ヒルロイドローションの後発品を用いることが多くなっています。何故ならば、後発品を用いることを、国から推奨されているからです。
しかし、ヒルロイドローションに限っては、後発品にすると、皮膚障害が悪化するという訴えをする患者さんが、たまに出るという報告があります。
現在、販売されている後発品は、先発品に比べると、少し薬の力が落ちるからだと推測されています。このことを証明する医学的なデータも出ています。
背中に塗るにはどうしたら良いか?
家族の方に、塗ってもらいましょう。
塗ってもらえる人がいない場合は、「ヌリチャン」」「セヌール」という背中に塗る道具を使うと良いです。
2、ミノマイシンという抗生剤の内服
この薬を1日100ミリグラム飲むことにより、皮膚障害を軽減できます。予防的にも飲みます。
3、日焼けをしない
日焼けの危険があるときは、低刺激性で、SP30以上の日焼け止めを塗りましょう。
例えば、キュレルという日焼け止めは良いでしょう。
4、ニキビ様の湿疹が出た時は、ステロイド軟膏を塗る
ニキビ様の湿疹が出た時には、1日2回ステロイドを塗ると良いです。
5、皮膚の乾燥がひどくなり、皮膚にひび割れができた時
デュオアクティブというものを貼ると良いです。インターネットなどで購入できます。
デュオアクティブを貼ると、以下のようになります。
「はった部位の皮膚は、湿潤環境になる。その結果、皮膚の状態が、健康な状態に戻るまでの時間を早くする」
逆に、皮膚にひび割れした時に、絆創膏は貼ってはいけません。逆に、悪化します。
デュオアクティブの代用としては、「キズパワーパッド」「ケアリープ治す力」というのも良いでしょう。
6、爪周囲炎
巻き爪に準じたテーピングをしましょう。
以下の動画を参考にしてください。
ちなみに、顔が真っ赤になるような皮膚障害が出ることがあります。
そのような場合は、メトロニタゾール軟膏を塗ると、良くなることが多いです。同時に、ステロイドを内服すると、さらに治りは良くなることでしょう。
丸い潰瘍が皮膚にできることもあります。そのような場合は、「ゲーベンクリーム」もしくは「デルモベート軟膏+亜鉛華軟膏」が良いです。
さて、ここまでは、皮膚障害の対処法をお話ししました。
同時に、原因となった薬剤を減量したり、一時的にお休みする必要があることもあるので、主治医には、皮膚障害が出た時には、相談しましょう。
また、漢方も、皮膚障害の予防に有効です。そのような漢方も、利用すると良いですよ。
大腸がんを克服するために、知って欲しいことは、こちらでも学ぶことができます。
参考資料:分子標的薬皮膚障害対策マニュアル2011