大腸癌の検査の方法と費用ならびに検査の期間を医師が解説!楽に検査を受ける秘訣とは?
こんにちは。加藤隆佑です。総合病院でがん治療を専門として働いています。
もし、あなたが、大腸がんを疑わせる症状がある時は、検査を受けて欲しいです。
大腸がんは、早期発見できれば、完治が望める病気だからです。
本日は、大腸がんの診断のために、必要な検査と費用について、解説いたします。
同時に、私の18年間の大腸がん治療の経験をもとに、楽に検査を受ける方法と、大腸がんを克服するコツを説明いたします。
Contents
大腸がんの初期症状(自覚症状)とは?
大腸がんの代表的な症状は、血便、便が細い、便が残る感じ、おなかが張る、腹痛、貧血、原因不明の体重減少です。
特に頻度が高い症状は血便です。一方で、痔でも、血便になります。精密検査をしないと、どちらが原因か分かりません。
一方で、かなり進行しても、症状がでない場合があります。
また、大腸がんは、遺伝子やすいこともあります。もし血縁者の中に大腸がんの方がいらしたら、症状がなくても、定期的に検査を受けましょう。
検査を受けるとしたら、大腸カメラが一番良いです。
大腸がんは、早期発見したら、治癒する病気です。
便潜血検査は、大腸がんの診断に有効か?
大腸がんから、出血する場合があります。そして、便が通るときにその部分がこすられて、便に血液が付着します。この便中に混じったわずかな血液を検出するのが、便潜血検査です。
便潜血検査にひっかかると、大腸がんの可能性がでてきます。しかし、痔の方でも、この検査にひっかかることは、よくあります。
したがって、便潜血検査にひっかかった場合は、大腸内視鏡検査で詳しく大腸の中を調べる必要があります。
ちなみに、便潜血反応の検査にひっかかった人が、精密検査をうけて、実際に、進行した大腸がんが見つかる割合は3%とされています。
大腸がんを疑う症状がある時の検査とは?
大腸カメラを受けることになります。
この章では、大腸カメラの詳細を説明します。
大腸内視鏡検査
大腸の内部を直接、大腸カメラで見ます。
大腸がんの有無を確認します。
もし、大腸がんを認めたら、以下のことを確認します。
- 病変の位置
- がんが、どの程度広がっているか?
- がんが、大腸の壁にどの程度の深さまで食い込んでいるか?
大腸がんが、かなり広い範囲に広がっていても、大腸の壁に食い込んでいる程度が浅ければ、内視鏡的に切除できます。
大腸の壁に食い込んでいる程度が浅いとは、大腸がんが粘膜内にとどまっていることを指します。
同時に、大腸がんの部位から細胞を採取します。そして、がん細胞が、どのような顔つきかを確認します。
ちなみに、大腸カメラの検査は、それほど辛い検査ではないです。
しかし、人によっては、大腸カメラを大腸の奥に挿入していくときに、お腹に痛みがでることがあります。その痛みを和らげることを目的に、鎮静剤という少し眠くなる注射をして、検査を受けてもらうケースが多いです。
以下のような方が、大腸の検査のときに、痛みがでやすいです
- お腹の手術を受けたことがある方
- 痩せている方
痛みを感じやすい方はいるものの、一般的には、楽に受けられる検査とされています。
また、最近は、痛みが非常に出にくい内視鏡も発売されています。
ただし、大腸のカメラの前に下剤を2リットルくらい飲んで、腸内を洗浄しないといけません。そのことに、苦痛を感じる方は多いです。
私も大腸カメラの検査を数回受けたことはあります。検査自体は楽でしたが、下剤を2リットル飲むのが大変でした。この点は我慢しないといけないのでしょう。
いづれにせよ、以下の工夫で、楽に検査を受けられるでしょう。
- 鎮静剤の使用を医師にお願いする
- 痛みがでやすい体格ならば、医師にお願いして、痛みの出にくいカメラをお願いする
ここから先は、大腸がんの診断になった場合の検査の進め方、並びに治療法を解説していきます。
大腸がんにおける血液検査とは?
血液検査によって、以下のことがわかります。
腫瘍マーカー
大腸がんではCEAやCA19-9と呼ばれる腫瘍マーカーなどを検査します。
しかし、がんがあっても、必ずしも腫瘍マーカーが上昇するとは限りません。
腫瘍マーカーは、手術後の再発のチェックや抗がん剤治療の効果判定の参考に使われます。
臓器の機能が正常化かどうか?
腎機能や肝臓の機能を確認します。このような臓器の機能が低下しているようであれば、手術や抗がん剤治療による合併症が起こりやすくなります。
採血では、糖尿病がないかどうかも、チェックします。
糖尿病があり血糖値が高いときは、大腸がんの治療の前に、糖尿病の治療を優先しないといけないこともあります。
貧血はないか?
大腸がんからの出血により、貧血になることがあります。
もし貧血が強いならば、輸血をしないといけません。
大腸がんのバリウム検査(注腸造影検査)
肛門からバリウムと空気を流し込んで、X線写真を撮影します。
そして、大腸の病変を診断する方法です。
がんの位置や大きさなどが分かります。
最近は、大腸X線検査は、省略される傾向にあります。
CT検査の情報で、必要は情報を得られるようになったからです。
大腸がんのCT検査
以下のことを確認するために、CT検査をします。
- 遠隔転移の有無
- リンパ節への転移の有無
- 大腸の周りの臓器(膀胱や尿管など)へ大腸がんが浸潤していないか?
大腸がんのPET検査
がん細胞は、ブドウ糖を取り込む性質があります。
そこで、放射性ブドウ糖液を注射し、それがどの部位で取り込まれるかを確認しようというのが、PET検査です。
放射性ブドウ糖液が取り込まれた部位に、大腸がんはあると推測できます。
しかし、はじめて大腸がんと診断された方がPET検査を受けることは、それほど多くはないです。
なぜならば、CT、大腸カメラ、採血の検査結果から、治療方針をほぼ決定できるからです。
検査より、以下の状況を把握できるようになります。
大腸のがんが、どの程度、大腸の粘膜に食い込んでいるか
転移しているリンパ節の数
遠くの臓器(肺、肝臓、腹膜など)に転移しているか
そして、以下のことが決定されます。
- 手術ができる段階の大腸がんか?
- もしそうである場合は、どのような術式がよいか?
- 手術ができないほど、体中に大腸がん広がっている場合は、どのような抗がん剤治療を用いるとよいか?
ちなみに、以下のような状況であれば、大腸がんを手術で取り除けることになります。
- リンパ節の転移があったとしても、大腸の周囲にとどまってるとき
- 肝臓や肺といった臓器に転移がないとき
- お腹の中に、大腸がんが、ばらまかれている所見(腹水など)がないとき
大腸がんの検査費用と、検査の期間は、どのくらいかかるのか?
実際に大腸がんの外科的な手術を行った患者さんの事例で、検査費用をお示しします。
(患者様の置かれている状況や、病院によって、実施される検査内容が異なります。1つの目安としてご覧ください。)
初診料:約3000円
再診料:約700円
大腸カメラ:約16000円
大腸カメラで採取した細胞を、顕微鏡で確認する検査(病理検査):約15000円
採血検査:約10000円
CT検査:約16000円
胸のレントゲン写真:約2100円
肺活量の検査:約2000円
心電図検査:約1300円
大腸カメラ:約16000円
合計:65580円
ちなみに、検査のために、計3日病院にきていただきました。
そして、初診日から、約1週で、検査をすべて終えています。
実際の費用負担は、65580円の1割から3割です。
検査のために、どのくらいの期間がかかるかは、病院によって、異なります。
ちなみに、手術のために、入院したら、入院費用は約105万円かかると言われています。
この場合も、実際の費用負担は、105万円の1割から3割です。
そして、お金の負担を減らすためのコツは、こちらで解説しています。