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癌による告知を受け入れ、穏やかな気持ちになるためにすべきことを医師が解説

心のケア  

はじめまして、宮野史也と申します。北海道で精神科医をしております。

癌による告知は、患者さんやご家族に多大なストレスを与えます。

私は、精神科医の立場でがんの方の診療をしていますが、告知を受けて頭がまっしろになった方、覚悟はしていたけれども涙があふれて止まらない方、家族を心配させまいと気丈にふるまおうとする方など、色々な方を診てきました。

さらに、癌と告知されることにより10から40%の方がうつ状態になるとも言われています。

とても不安に思われるかもしれませんが、必ずそのような感情を乗り越えて、うつ状態から脱することはできます。

人によっては精神的な動揺が数ヶ月から半年続くことがあっても、いつかは立ち直れるのです。

精神科医として、1日も早く立ち直るために実行して欲しいことをお伝えします。

気持ちを落ち着かせる方法は、ありのままの気持ちを見つめること

がんになってしまったという事実を変えることはできません。しかし、その事実に対する解釈がポジティブなものになれば、あなたの人生をより良いものに導きます。

例えば、次のように言われた方がいらっしゃいました。

「がんになってよかったと思う。そういうと、えっ?と思われるかもしれませんが、心の底からそう思います。がんのおかげで、家族の大事さに気づく事ができたし。このことに気づかなかったら、家族のことを見向きもしない人生になっていたと思う」

このようにポジティブに捉える事ができるようになる事は珍しいことではありません。

しかし、簡単なことではありません。むしろ極めて困難な作業となることもありますが、あることをすれば、このような形の意味づけができるようになります。

それは「語ること」です。

何故ならば、内面を言葉にするという行為は、がんになった方の心を癒す力がある事が分かっています。だからこそ、語って欲しいのです。心を癒していく中で、良い形でがんの事を受け止める事ができるようになります。

語るということは、感情を否定したりせず、ありのまま受け止めることも意味します。

例えば、がんの患者会に参加して、参加者の方々と自分の気持ちを伝え合うこともとても良いことです。

毎日日記を書いて、自分の心情を書くことも有効とされています。

日々自分の感情を客観的に見つめなおす機会になりますし、大事なことを大事にできた一日であったのか問い続けて欲しいのです。

このことは、医師である伊丹仁朗先生が提唱した「生きがい療法」に通じるものがあります。生きがい療法で大事にしていることは、以下のことです。

① 自分が自分の主治医になるつもりで、積極的に闘病に取り組むこと
② 今日1日の目標に打ち込むこと
③ 人のためになることをすること
④ 不安、恐怖と共存する訓練をすること
⑤ 死を自然の事実として理解し、今できる建設的な準備をすること

そして、このようなことを実行していくために、大切な事が2つあります。

生きがいを持って生きていくために必要なこととは?

一つ目は、医療従事者としっかりとした人間関係を作り、コミュニケーションをとる事です。

何故ならば、日常生活から切り離された医療という枠組みの中に入れる事や、CTといった画像診断や腫瘍マーカーといった検査結果に一喜一憂することは、多大なストレスを生みます。

しかし、そのようなストレスは、医療従事者とのコミュニケーションが順調であれば、かなり軽減できます。ストレスが減れば、生きがいを持って生きていくことにつながります。

もう一つは、捨てながら折り合いをつけるという事です。

この考え方を知ったのは「がんという病気と生きる(北西憲二、板村論子著)」という書籍でした。文章の一節を引用して説明させていただきます。

・・・・・

自分が元気をなくしたり、体の一部が駄目になったら、動く範囲も、それから気力も体力も落ちています。

そうしたら全部を諦めたり捨てたりしないで、その中で自分が今できる事だけをやろう。

それで、体力が復活したり気力をもてたり、あるいは、そういう行動範囲が広がったりしたら、だんだんまた元の状態まで持っていける。

(がんという病気と生きる p123より引用)

・・・・・

体のために「諦める事」「捨てること」を覚えていくと同時に、「今できる事」に注意を向けていった。

(がんという病気と生きる p123より引用)

・・・・・

がんになっても、できることはたくさんあります。そのようなことを見つけていく事が大事です。

しかし、精神的に落ち込みそのようなことを考える事ができないこともあるでしょう。

そのような時に手助けをするのがサイコオンコロジストです。

患者さん、ご家族が、がんと自分らしく取り組めるサポートをします。あなたがもし心のことで悩んでいたら、サイコオンコロジストに相談してみると良いです。

まとめ

1、ありのままの気持ちを見つめることが大事〜患者会に参加したり日記をつけよう。

2、医療従事者とコミュニケーションを取れる関係を作ろう。

3、できない部分は捨てながら、折り合いをつけるという事も大事になる事があります。

4、困ったらサイコオンコロジストに相談

執筆医師:宮野 史也
北海道大学精神科所属

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