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がんになったら必ずうつになり、うつに苦しむのですか?

 2021/01/16 心のケア  

こんにちは。加藤隆佑です。がん治療を専門に総合病院で勤務しています。

さて、先日こんなご質問をいただきました。

「がんになったら、必ずうつになり、うつに苦しむのですか?」という内容でした。

約10から40%の人がうつ病になると言われています。

そして、告知のショックを受けた後に、立ち直る人がいる一方、精神的な動揺が数ヶ月から半年間と長引く方もいます。

がん告知後から1週間がもっとも落ち込みの強い時期であり、衝動的な行為に及ぶ人もいます。

自殺リスクは、告知から1週間が約12.6倍、1週後から1年以内は3.1倍

ちなみに、がん告知から2年以上経過した場合は、うつになる割合は、健康の人と同じくらいになります。

この事実は、時間が経過すると、がんに伴ういろんな問題を解決してくれることを表しています。

まず知っていてほしいことは、うつ病は、必ず治るということです。

一生続くわけではありません。

そして、人に話を聞いてもらうということが、解決のための時間を短縮してくれます。

ちなみに、うつ症状がでて、精神科を受診すると、必ず気持ちの不安をとる薬を処方されますが、それは根本的な解決ではありません。

もちろんその薬を飲む事はよいですが、必ず、人に話を聞いてもらうことをセットにしてください。

最後のポイントは、がんに伴う痛みといった症状、抗がん剤の副作用をとることです。

それらも、うつを悪化させる危険な要素だからです。

以上3つつがポイントになります。

また、繰り返しになりますが、告知の直後が最もショックを受けていますので、誰かが気にかけて、話を聞いてあげることも大切です。

どのように話を聞いてあげれば良いか?

落ち込んでいるときに、どのように話を聞いてあげたら良いか疑問に思われるご家族の方もいらっしゃいます。

いろんなケースがあるので、一概には言えないところがありますが、以下のようなことは避けないといけません。

・タバコを吸ってたから、こんな風になったのよ!
・なんで、治療をうけたくないの!しっかり治療を受けようよ。
・他の病院の〇〇先生は、もっと腕がいいから行ってみようよ。

このような時に、正論を言われると、逆に気持ちが落ち込みます。

大事なことは、告知された方の思いをきくことです。

それでは、どのように思いを聞いたらよいのでしょうか?

中立的な立場で、聞くことが大切です。

治療を受けてもらうように説得しようという気持ちではダメです。意見を述べずに、ただ、うなづくだけでもよいでしょう。時には、抱きしたり、一緒に泣いたり。

そのようなことにより、告知されて落ち込んでいても、次第に気持ちが落ち着いてきます。

そして、治療のことについて意見を求められた時に、家族は治療のことへの意見を述べれば良いです。そうでなければ、治療のことは、病院の医師に任せれば良いのです

最近は、youtubeでも、がんを告知された家族の思いを述べている動画が増えてきました。

最近、参考になる動画を見つけました。こちらも参考になりますよ。

執筆医師:加藤隆佑


癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医・指導医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医・指導医
札幌禎心会病院がん化学療法センター長

(2021年9月までは、小樽協会病院消化器内科に所属)

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門としつつ、がん全般についてアドバイスをしています。

緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」「大腸がんと告知されたときに読む本」「がんと向き合うために大切なこと」を出版。

加藤隆佑医師の論文

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