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脳転移が再発した時には、放射線脳壊死の可能性も考えないといけない。

 2021/07/26 脳転移  

こんにちは。札幌近郊の総合病院で、がん治療を専門にしている工藤準也です。

本日は、放射線脳壊死について解説いたします。

がんの脳転移になった時の予後は?

がんが脳に転移しても、放射線治療により、かなり制御できます。

しかし、放射線治療を行なっても、脳転移が再発することがあります。

その場合は、一番初めに、追加で放射線治療ができないかを検討します。

注意点として、脳転移の再発のように見えて、実は、再発ではないことがあることです。

放射線脳壊死の可能性もあるのです。

放射線脳壊死とは?

放射線があたった脳の組織や細胞が、死んでしまうことです。

放射線脳壊死が生じる時期は,放射線治療後 数ヶ月から10年後くらいというように、幅があります。

放射線脳壊死が生じる頻度は高いものではありませんが、もし、脳壊死が生じるならば、一日に照射した線量が多い方が、より早い時期に脳壊死が発生する傾向があるとされています。

そして、ガドリニムという造影剤を用いて検査をすると、脳壊死になった場合は、造影剤によって染まりますので、再発との区別が難しいです。

つまり、がんの再発と思われたのが、実は、放射線脳壊死ということもあり得るのです。

放射線脳壊死による症状は?

脳が、むくみます。

その結果、脳腫瘍が再発した時と同じような症状が出ます。例えば、以下のような症状です。

  • 認知症、記憶力の低下
  • てんかん
  • 上半身麻痺

放射線脳壊死に対する治療は?

脳浮腫を軽減させる薬剤であるステロイドを用います。

最近は、アバスチンという血管新生阻害薬が、浮腫を改善させることが判明しています。

しかし、放射線脳壊死に対して、アバスチンを用いることは、保険診療上では認可されていません。

また、浮腫は半年から2年くらい続くとされているので、ステロイドやアバスチンは、かなり長期間用いないといけません。

これらの薬を途中でやめると、再び脳浮腫は悪化します。

もし、ステロイドでの治療を行なっても、浮腫が改善しない場合は、手術を検討します。

手術が成功すると,脳浮腫(脳の腫れ)が、引きます。そして、浮腫により圧迫されていた脳の機能が改善して,症状が良くなります 。

脳転移の治療に対する細かなことは、こちらで解説しています。

 

 

 

引用:脳外科医 澤村豊のホームページ

・Levin VA, et al.: Randomized double-blind placebo-controlled trial of bevacizumab therapy for radiation necrosis of the central nervous system. Int J Radiat Oncol Biol Phys 79: 1487-1495, 2010

・Tiwari P, et al.: Computer-Extracted Texture Features to Distinguish Cerebral Radionecrosis from Recurrent Brain Tumors on Multiparametric MRI: A Feasibility Study. AJNR Am J Neuroradiol: 2016

執筆医師:工藤準也
栄町ファミリークリニック医師

経歴


札幌市出身
札幌医科大学 卒業
札幌厚生病院
済生会小樽病院
小樽協会病院
札幌禎心会病院
栄町ファミリークリニック

所属学会



  • 日本プライマリ・ケア連合学会

  • 日本内科学会

  • 日本消化器病学会

  • 日本消化器内視鏡学会


関連資格



  • 内科専門医

  • 消化器病専門医


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