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骨転移で放射線治療により、効果が出るまでどのくらいかかるかを医師が解説

 2021/12/28 骨転移  

こんにちは。加藤隆佑です。がん治療を専門に、総合病院で勤務しています。

本日は、骨に転移したがんによる痛みを和らげる方法について、解説いたします。

骨に転移した痛みは、和らげることができます。

そのための有効な手段の1つが、放射線治療です。

放射線治療の効果について、以下のように言われています。

・約80%の患者さんで痛みの軽減が得られる。

・約3割の方が、完全に痛みが消失する。

・効果が出るまでには治療開始から2~4週間程度の時間を要します。

しかし、放射線治療によって、痛みが取れれば、大丈夫という訳ではありません。

痛みが取れても、あることに注意しないと、とんでもない結果になってしまうこともあります。

放射線治療後の日常生活の注意点も含め、今回は、骨転移に対する放射線治療に対して、もう少し詳しい内容をお伝えしていきます。

もっと短期間で効果が出ることはある?

実際に診療をしていると、放射線治療を終えて1から2週くらいで、痛みが和らいでくることは、よくあります。

放射線をたくさん当てるほど、痛みは減る?

放射線治療の方法は、以下の3つのうちのどれかが、用いられることが多いです。

  • 8Gyという量で1回あてる
  • 4Gyという量で5回あてる
  • 3Gyという量で10回あてる

これまで多くの臨床試験で、骨転移による痛みをやわらげる効果において、こ の3つに違いはないことが証明されています。

そうであれば、8Gyという量で1回あてるのが、一番、簡便で良いはずです。

しかし、実際のところは、骨転移の状況によって、この3つのうちのどれが良いかを考え、最適な照射量を決めます。

例えば、放射線治療に対する反応性が低そうな、がんの骨転移には、照射量を増やしたりするといった工夫です。

ちなみに、放射線感受性の良い一部のがん、例えば悪性リンパ腫では、4Gy程度の照射を1回しただけで、痛みはかなり減り、腫瘍もかなり小さくなります。

さらに、最近は、ピンポイント照射(定位放射線治療)といった高精度な放射線治療を、骨転移に対して行われるようになりました。

そうすることにより、より体への負担の少ない照射にしたり、同じ部位への照射(再照射)が安全にできるようになっています。

転移した骨に照射した場合、がん細胞はどうなる?

がんの転移によって、傷つき弱くなった 骨は、放射線治療によって、がんが小さくなることにより、骨は、再び強くなります。

強くなるというのは、骨が再び石灰化して、硬くなるという意味です。

そうなるのに、約3か月くらいはかかると思われます。

痛みは和らいでも、骨が強くなるまでには、さらに時間がかかるということです。

痛みが楽になると、つい、 身体を動かしたくなりますが、その結果、弱っている骨にストレスがかかり、骨折してしまうということも、あり得ます。

放射線治療を受けたことが、仇になるようなことは避けないといけないのです。

骨が強くなるまでの間は、体の動かし方に注意を払わないといけません。

主治医に、体の動かし方で、注意しないといけないことを聞いておきましょう。

放射線治療を受けることで、痛みが悪化することもある。

放射線治療を受ける時には、痛みがあっても、照射をしやすい体位になってもらいます。さらに、照射中には、極力、動かさないようにしないといけません。

放射線を照射中に、体を動かすと、放射線があててはいけない部位に当たってしまうからです。

その結果、

放射線治療を受ける時には、辛い痛みを我慢して、じっとしないといけない。

ということも、起こりうるのです。

そのようなことを避けるために、可能な限り楽な姿勢で、放射線を受けられるような工夫をしたり、放射線治療を受ける直前に痛み止めを飲むというういった工夫が必要になります。

執筆医師:加藤隆佑


癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医
札幌禎心会病院がん化学療法センター長

(2021年9月までは、小樽協会病院消化器内科に所属)

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門としつつ、がん全般についてアドバイスをしています。

緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」と、「大腸がんと告知されたときに読む本」を出版。

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