がんの悪液質の治療薬であるエドルミズについて医師が解説
こんにちは。加藤隆佑です。がん治療を専門に総合病院で勤務しています。
2021年4月より、がんの悪液質に対する治療薬として、エドルミズという薬剤を用いることができるようになりました。
これは、とても大きなニュースになります。
そこで、がんの悪液質とは何か?、そしてエドルミズの効果について解説します。
がんの悪液質について
がん悪液質とは 、がんの進行に伴い,体重減少,低栄養,消耗状態が徐々に進行していくことを指します。
以下の表で、点数が低いほど、悪液質の可能性が高くなります。
悪液質が疑われるときには、薬物、運動、栄養、心理療法などを併用した介入が求められます。
エドルミズという薬物の治療効果は?
がん悪液質に対して、エドルミズという薬剤をもちいることができます。
エドルミズにより視床下部を刺激して、食欲をアップさせます。さらに、脳下垂体を刺激して成長ホルモンを分泌させて、その結果、インスリン様成長因子−1にもつなが理、筋肉量や体重を増加させます。
データによると、効果は約6割の人にでます。
効果というのは、食欲がアップしたり、体重がアップすることを指します。
3週間で効果判定をして、3週で効果が出ていなければ、この薬剤をストップします。
飲み方ですが、空腹時に1日1回内服します。このお薬を飲んだ後は、1時間くらい空腹の状態にしておかないといけません。
注意点は、全てのがんの悪液質に用いることができるわけではありません。
現段階では、胃がん、膵臓がん、大腸がん、肺がんによる悪液質だけです。
エドルミズ以外にも、効果のある治療法は?
漢方も、がんの悪液質に対して効果があります。
例えば、六君子湯と茯苓飲合半夏厚朴湯を併用した治療をすると、悪液質が改善することは珍しくありません。