1. TOP
  2. 副作用対策
  3. 高齢者の方で、抗がん剤の副作用が出やすい方がわかりました。

高齢者の方で、抗がん剤の副作用が出やすい方がわかりました。

 2024/10/20 副作用対策  

こんにちは。がん治療専門医の加藤隆佑です。

最近になり、高齢者の方で、抗がん剤の副作用が出やすい方がわかりました。

以下の点で該当するところがないかを確認してほしいです。

・72歳以上:該当すれば 2点

・消化管または尿生殖器原発のがん:該当すれば 2点

・計画された薬剤用量が標準(減量されていない)投与量 :該当すれば 2点

・用いられる抗がん剤の種類が2剤以上を併用:該当すれば 2点

・ヘモグロビンが男性の場合は11g/dL未満、女性の場合は10g/dL未満:該当すれば 3点

・クレアチニンクリアランスが34mL未満:該当すれば 3点

クレアチニンクリアランスの計算方法は以下の通りです。

 

(計算が大変な場合は、クレアチニンの数値が1以上の時は要注意と考えていただいて構いません。)

・聴力はやや難聴:該当すれば 2点

・過去6カ月間に転倒の既往あり :該当すれば 3点

・服薬に介助を要する:該当すれば 1点

・ワングロック歩くことができない:該当すれば 2点

・過去4週間に肉体的、精神的理由で社会参加が減っている:該当すれば 1点

該当する部分のところの点数を合計してください。

その合計点によって、強い副作用が出る確率がわかります。

この点について、詳しく解説いたしますね。

強い副作用が生じる可能性を「低リスク」「中程度リスク」「高リスク」の3つの段階に分類します。

低リスク:0~5

中程度リスク:6~9

高リスク::10~19

これは、CARGスコアと言います。

リスクごとの重度の副作用の発現率は、低リスクで36.7%、中程度リスクで62.4%、高リスクで70.2%とされています。

つまり、中程度リスク以上の場合は、かなり慎重な抗がん剤の投与が求められることになります。

ただ、そのようなことを意識して抗がん剤治療をしている方は、まだわずかです。

患者さんの置かれた状況によって、臨機応変な抗がん剤の投与ができる医師が増えることを願っています。

そして、仮に高リスクということであっても、副作用に悩まされない方法は、こちらで解説しています。

引用文献

1)Hurria A,et al:Validation of a Prediction Tool for Chemotherapy Toxicity in Older Adults With Cancer.J Clin Oncol 2016;34(20):2366-71.

執筆医師:加藤隆佑


癌治療認定医
内科学会認定医
消化器病学会専門医・指導医
消化器内視鏡学会専門医
肝臓専門医・指導医
札幌禎心会病院がん化学療法センター長

(2021年9月までは、小樽協会病院消化器内科に所属)

消化器領域のがん(食道、胃、すい臓、肝臓、胆のう、大腸)を専門としつつ、がん全般についてアドバイスをしています。

緑書房より「抗がん剤治療を受けるときに読む本」「大腸がんと告知されたときに読む本」「がんと向き合うために大切なこと」を出版。

加藤隆佑医師の論文

加藤隆佑医師のプロフィールの詳細はこちら

関連記事

  • イリノテカンによる下痢・吐き気・脱毛への対処方法を医師が解説

  • アブラキサン(パクリタキセル、ドセタキセル)による筋肉痛の対処法

  • がん治療中に、顎や歯の痛みが出た時には、顎骨壊死になっていないかをチェック

  • 抗がん剤による血管痛の対処法を医師が解説

  • この症状は、がんや抗がん剤の副作用ではなく、〇〇が原因です。

  • 抗がん剤による口内炎を予防する方法を医師が解説