こんにちは。加藤隆佑と申します。
札幌の総合病院でがん治療を専門にしている医師です。
本日の本題に入らせてもらえればと思います。
がんの治療中であっても、障害年金を受けられることができます。
障害年金を受け取ることができれば、治療に伴う経済的な負担を軽減できます。
そこで、障害年金を受け取るための条件や、コツをお伝えします。
1、障害年金とは?
障害年金は、病気やけがなどで障害が生じたとき、支給される公的年金のことです。
65歳未満の方でも、受給できる可能性はあります。
たとえば、人工肛門になった場合は、障害年金を受給することができます。
しかし、それだけでは、ありません。
がんの治療の副作用で、仕事が制限されたり、介助が必要になってしまった。
そのような場合でも、受給できることがあります。
たとえば、
抗がん剤の副作用による倦怠感で、仕事や生活に支障が出ている
ときにも、至急されるかもしれないのです。
給与が支払われていても支給の対象になる場合があります
障害年金には、1級から3級まであります。1級が最も重い障害です。
上の表をもっと簡単に記載すると、以下の通りとなります。
1級が認められるために必要なこと
日常生活が、おおむね寝たきりということ
2級が認められるために必要なこと
日常生活が著しい制限を受けているということ
3級が認められるために必要なこと
労働が制限を受けるということ
注意点として、身体障害者手帳の等級とは異なるので、混同しないでください。
2、受け取るために必要なことは?
1級と2級の場合
国民年金加入者には障害基礎年金、厚生年金加入者にはさらに障害厚生年金が上乗せされます。
3級の場合
障害年金が受給できるのは、厚生年金の加入者だけとなります。
初診日と、障害認定日は大丈夫?
障害年金で重要なのは、がんと診断された病院を初めて受診した「初診日」と、障害の状態を判断する「障害認定日」
障害の状態は、初診日から1年6カ月経った時点の障害認定日の体の状態で判断されます。
つまり、初診日から1年6カ月たっていないと、申請できないことになります。
例外は、膀胱がんなどで新膀胱を造設したり、喉頭がんなどで喉頭を全摘出したときです。
新膀胱造設と喉頭全摘術などは手術日、人工肛門は6カ月後が障害認定日になります。
クリックすると拡大します。
「https://www.nenkin.go.jp/service/yougo/sagyo/ninteibi.htmlより引用」
そして、申請するために準備するものは、以下ものです。
・年金請求書:年金請求書様式第107号
代理人が記載することも可能です。
・受診状況等証明書
受診状況等証明書を提出できない場合は、受診状況等証明書を添付できない申し出書
・病歴・就労状況等申立書
・医師の診断書
障害年金の診断書には8様式ありますが、がんの場合は、「血液・造血器・そのほかの障害」の様式を使います。
(クリックすると拡大できます。)
申請しても、認められないことがある。その回避策は?
最も大事なことは、診断書の12番のところです。
もし、アを選択したら、障害年金を受け取ることはできないでしょう。
エとウの場合は、3級の可能性があります。
オとエの場合は、1級か2級の可能性があります。
医師は、あなたが、どのような生活を送っているかわかっていないことが多いです。
従って、医師に、自分から、どこにチェックしてもらうかを事前に伝えるとよいです。
次に大切なところは、9番と15番のところです。
以下は15番
詳しく書いてもらいましょう。
なぜならば、がんの障害認定は、以下の情報を総合して、判断されるからです。
・病状の経過と治療効果
・画像所見
・転移の有無
・採血の検査結果など
直近の検査結果で、がんによって悪化している部分があれば、そのことも記載してもらいましょう。
・具体的な日常生活状況
・がんの組織所見と、その悪性度
そして、詳しく書いてもらうためにも、以下のことをメモにして、主治医に渡すとよいです。
・具体的な日常生活の状況
それ以外の記載のコツは、以下の通りです。
16番のところは、先ほどの12番の内容に沿ったことを書いてください。
17番の予後のところは、万が一、薬が効かなかったときに、どうなるかを記載してもらうと良いです。