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早期胃がんで外科治療が必要と言われても内視鏡治療で治ることも。その理由を解説!

 2021/02/01 胃がん  

こんにちは。加藤隆佑です。がん治療を専門に総合病院で勤務しています。

本日は田沼徳真先生に、早期胃がんの内視鏡治療についての記事を監修していただきました。

その中で、早期胃がんで外科治療が必要と言われても内視鏡治療で治ることがあることもご説明いたします。

田沼先生は、内視鏡治療を専門にしており、早期の胃がんや大腸がんに対する内視鏡治療を専門の1つにされています。とてもすごいスキルを持っていらっしゃいますし、とても温厚な性格でいらっしゃいます。

私たちの病院でも、難しい治療になりそうなケースでは、田沼先生にサポートしていただきながら治療をしています。

私がとても信頼を置いているドクターであり、もし私がこの治療を受けないといけない時には、田沼先生にお願いすると思います。

ここから先が、監修していただいた記事になります。

早期胃がんに対する内視鏡治療の主流はESD

以前は、非常に大きな早期の胃がんに対しての内視鏡治療は、取り残しなく切除することが難しいことが多かったです。

しかし、15年前に、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)という治療が保険適応になり、非常に大きな病変であっても、取り残しなく切除できるようになりました。

現在は、一般的な病院でも広く行われています。

以下のような手順で切除します。

1つ事例を提示します。

以下の図の青線で囲まれたところに、4cmくらいの平らな胃がんが存在します。このような大きな病変も、ESDを用いれば、比較的容易に切除できます。

こちらの写真は、ナイフで病変をくり抜いてる最中です。

青で囲んだ部位が、くり抜いた場所です。

切除した後に、病理検査を行い、がん細胞が、胃の粘膜のどのあたりまで食い込んでいるかなどを評価します。

その評価の結果、胃の粘膜層、もしくは、粘膜下層に少しがん細胞が浸潤しているだけであり、それ以外にも、リンパ節に転移している可能性を示唆する所見がなければ、完治の可能性が極めて高いという判断となります。

病理結果において、リンパ節に転移している可能性を示唆する所見があれば、追加の治療として、外科的な手術が行われることになります。

セカンドオピニオンを求めた方が良いケース

早期胃がんであっても、粘膜下層の深いところまで、がん細胞が浸潤していることが疑われるときには、初めから外科的な手術になります。

しかし、中には、内視鏡治療にすべきか、外科手術かで悩むケースも多いです。

そのような場合は、内視鏡治療を行い、病理検査で最終的な診断をします。その結果を踏まえて、追加手術をするか否かを決めるというのが主流です。

しかし、中には、内視鏡治療にすべきか、外科手術かで悩むケースにも関わらず、外科的な手術しか提案されないこともあります。

そのような時には、内視鏡治療を得意とする病院にセカンドオピニオンを求めましょう。

しかし、「内視鏡治療にすべきか、外科手術かで悩むケースにも関わらず、外科的な手術しか提案されないケース」に該当しているかどうか、あなた自身では判断がつかないはずです。

そのような場合は、医師に、以下のように聞いてみてください。

「私の胃がんは、内視鏡治療の適応は100%なく、手術しかないという認識で良いですか?」

その答えが、「可能性は低いけど、内視鏡治療の適応の可能性は0ではない」と言われたら、セカンドオピニオンを求める価値が高いです。

難しい症例であると言われた場合は、どうする?

血に塊ができないようにするための薬で、抗血栓薬というものがあります。

以前は、この薬を止めた上で、内視鏡治療を行なっていました。しかし、最近になり、抗血栓薬を飲み続けた状態で、内視鏡治療を行うことが多くなりました。

抗血栓薬をやめている最中に、血の塊ができることを避けるためです。

しかし、この薬を飲みながら治療をすると、治療中に血が出やすくなります。治療の難易度が上がることを意味します。

また、治療がしにくい場所に、早期の胃がんができることもあります。

そのようなケースは、治療が難しいケースという範疇に分類されることが多いです。

そして、医師からのESDの説明で、治療が難しいケースと言われた場合には、その病院における年間の治療件数や、その医師の治療実績を聞いてみてください。

例えば、「年間何件くらいこの治療をやられているのですか?」というような質問でも良いでしょう。

その件数を聞いて、あなたが不安に思われるならば、年間の治療実績が多い病院を紹介してもらっても良いでしょう。

例えばですが、以下のようにお願いしても、問題はないでしょう。

「先生には、診断していただいたことを非常に感謝しております。ただ、難しいケースであるならば、年間の治療実績の多い大きな病院で治療を受けた方が、家族が安心するのではと思います。

そのような病院をご紹介願えないでしょうか?」

ただし、年間の治療実績が少ない病院であっても、治療を行う医師が何百例ものESDをされているならば、問題ないでしょう。

本日のまとめ

近年になり、早期胃がんで、非常に大きなものであっても、内視鏡で安全に切除できるようになりました。

ただし、治療を受けた後も、胃の別のところに、新たな胃がんができることがあります。

したがって、定期的に胃カメラを受けて、早期発見を心がけてほしいです。

監修医師:田沼 徳真
時計台記念病院消化器内科部長

日本内科学会認定内科医
日本内科学会総合内科専門医
日本消化器内視鏡学会指導医
日本消化器内視鏡学会本部評議員
日本消化器内視鏡学会支部評議員
日本消化器病学会指導医
日本消化器病学会支部評議員
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
日本食道学会食道科認定医
日本消化管学会胃腸科指導医
日本カプセル内視鏡学会指導医
日本ヘリコバクター学会ピロリ菌感染症認定医
がん治療に携わる医師を対象とした緩和ケアに関する研修修了

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